重要なのは「不潔感」を与えないこと
以上のポイントに共通して言えることは、ブランドイメージを傷つけないために“不潔感”を与えないことだ。不潔に見える可能性のあるものは可能な限り人目に触れる時間を短縮する、そして存在を目立たなくする。また、ササッとしまう(=隠す)。それだけで、視聴者の受けるイメージは変わる。
諸々がリモートになっている現在、記者会見も講演も世間の人々は画面上で目にする。視聴者は、ズームされた登壇者の姿を、画面の向こう側から一方的にじっくり見ているのだ。
そのため「あの外したマスクはどこにやるつもりだろう?」「そのまま胸ポケットに入れるのだろうか?」「それとも机の上に無造作に置くのだろうか?」「話をしながら手でいじるのだろうか?」「ずっといじっていたものを着けて退出するのだろうか?」などなど、様々な想像が頭を廻る。
その考えの行き着く先は「不潔」という不快感に満ちたネガティブメッセージだろう。そうなれば、その登壇者の存在と企業イメージにネガティブ影響を与える。実際に筆者もいくつかの会見を見ながら「あぁそれはない・・・」と思ったことがあった。
日常的な業務におけるマスクのルールは?
最後に、マスクといえば、先日「仕事の場面でのマスクのマナー」といった情報がTVで流れたとTwitterで回ってきたのを目にした。何色のマスクはNG、柄はNG、ロゴ入りは・・・などなど、またもやおかしなマナーが開発されつつあるようだ。
ここではっきり言っておこう「そんなのどうでもいい」。前述したような記者会見、特に謝罪会見の場では、主要メッセージを際立たせるためにも、その他の不要なメッセージは限りなくなくすことが大前提。したがって、よほど理由がある場合以外、マスクはスーツやドレスシャツに準じていた方が余計な情報発信を避けることができる。
しかし、日常的な仕事の場面であれば、それなりに自由でもいいのではないだろうか?マスクとは、必要とする場面でしっかり着用し、それを清潔に保ち、あなたを目にする相手に不快感(不潔感)を抱かせないことが何よりも大事だからだ。それが本当の意味での「仕事場面でのマスクのマナー」であり、このCOVID-19時代の「他者への配慮」という最低限のマナーであると言えよう。
NYではワクチン摂取をし始めた人々もかなりいるが、一般の人々が摂取を完了するのはまだ先。日本では一般の人が摂取できるのは夏ごろになるのだろうか。いずれにせよすこしは安心して過ごせるようになるまで時間がかかる。
そして皆がワクチン摂取をしても、マスクは当分の間、装着を必要とされ続けるアイテムのひとつとして存在する。だからこそメディアに露出する企業トップやその人々を支える周囲の方々には特に忘れないでいただきたい。マスクの扱い方でその方およびその企業の危機意識と紐づけられた「清潔感」が測られ、企業やブランドイメージを左右するということを。