「旅の素晴らしさ」を改めて発信しコロナ下での共感を醸成する
――「OnTrip JAL」とはどのようなメディアですか。
波多野:「OnTrip JAL」は、私が所属するWeb販売部が“旅の需要喚起”を目的として運営しています。またもうひとつの役割として考えているのが“地域との連携”。当メディアでは5年ほど前から自治体との連携を開始し地域のプロモーションや販促の役割も担っています。オウンドメディアでありながら、委託業務による収益化を目指している点は珍しい例かもしれません。
島崎:ハルマリがOnTrip JALの運営に携わり始めたのは2019年から。それまでOnTrip JALは記事制作やCMS管理など、業務ごとに委託されていましたが、メディアとしての目的意識を一気通貫させたいとのJALさんの思いがあり、当社で戦略から制作、運営までワンストップでサポートしています。
波多野:初めてお会いした時に島崎さんがおっしゃっていたのが、「会社の状況にあわせて、オウンドメディアも戦略や制作内容を柔軟に対応させていきたい」ということ。実際に、状況に応じて変化する部分と読者に情報を届けるためにメディアとしてぶらしてはいけない部分とを上手く両立していただいています。関係各所からの要望などで突発的な変更をお願いすることもありますが、柔軟に対応してくださっています。読者だけでなくこちらの立場にも立って考えていただけるので有難いです。
――1回目の緊急事態宣言下で実施された「#旅を夢見て」キャンペーンは、環境の変化に応じたオウンドメディアの新しい役割を発揮した事例ではないでしょうか。
波多野:「#旅を夢見て」キャンペーンは、コロナ禍でOnTrip JALとして何ができるのか迷っていた時に島崎さんが提案してくださった、JALの公式オンラインメディアとSNSによる合同コミュニケーションです。STAY HOMEで不安な時間をすごす方々に向けて、旅のワクワク感が一時でも癒しになればという思いで始めました。「♯旅を夢見て」というメッセージのもとJALの各メディア、SNSで旅の写真や動画、記事を発信しつつ、お客さまにも投稿をお願いしました。さらに、社外の旅行系サイトといった本来競合でもある他社のメディアとも連携して、同一のメッセージの発信も行い、多くの反響がありました。キャンペーン期間が終了した今も「#旅を夢見て」がハッシュタグとして使われているのを見かけます。
島崎:当時、すでにJALさんとしてのマーケティング活動が停滞を余儀なくされる中で、OnTrip JALも目的を失っていた状況でした。それでも少しでもお客さまのためになることができないかという思いでOnTripJALの運営を継続するご判断をされたことに個人としてとても感動しました。こんな状況でもできることがあるはずという思いで、提案した企画です。JALさんのような大きな企業だと、他のメディア、SNSのご担当者との連携にも時間がかかるかもしれないと懸念していたのですが、波多野さんがすぐに動いてくださったおかげで、企画から2週間のうちに実現に至りました。
波多野:「なんとかしなければ」という課題感は、皆共通して持っていたのだと思います。ただ、バラバラに動いている中で統一コンセプトをつくって全社で発信しようという提案をいただいたことでメンバーがひとつになれたように思います。
島崎:JALさんだけでなく、お客さまも、世界中の観光地も同じ思いなのではないかと考えていました。皆が改めて「旅の素晴らしさ」を感じている中で、その思いをつなぐことがOnTrip JALがやるべきことなのではと。需要喚起はできなくても共感醸成はできる。いつか旅行ができるようになった時にJALを選ぼうと思っていただくという点でも、成果があったのではと思います。
波多野:新型コロナの影響で、当初設定していたKPIに沿っての運営は叶いませんでした。しかし、不測の状況に応じて柔軟に対応する代えがたい経験ができたと考えています。来年度の状況はまだ見通せない部分も多いですが、こんな時だからこそ、OnTrip JALとしての原点に立ち戻り、オリジナリティのある提案を、発信していければと思います。
企業と読者の目線をあわせるオウンドメディアの役割
――企業にとってオウンドメディアとは、どのような役割・目的を果たす存在だと考えていますか。
波多野:オウンドメディアの運営を担当していると、メディアに対する思いやこだわりが大きくなり、自分本位になってしまうことも起こりがちですが、忘れてはいけないのがオウンドメディアは企業の資産だということ。企業には多くの部署・役割がありますが社内の情報発信ツールは限られます。しかし、発信する手段を持たない人でも、外部に伝えたい情報や思いを持っています。情報発信は、メディア運営に携わる人だけの特権ではなく、企業全体ですべきだと考えています。そのため、社員それぞれが持つ情報が私たちの元に集まり、それを整理して発信できるのが私の理想のひとつです。
島崎:そうした思いを読者目線に翻訳してコンテンツ化するのがハルマリの役割だと思っています。メディアを通じて企業と読者が同じ目線でつながる機会をたくさん創っていければと思っています。
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