サイバーコミュニケーションズ(以下CCI)、D2C、電通、電通デジタルの4社は3月10日、「2020年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」を発表した。
同分析結果は、電通が2月に発表した「2020年 日本の広告費」の調査結果のうち、インターネット広告媒体費の内訳を、広告種別、取引手法別などの切り口で分析したもの。さらに、国内電通グループのデジタル広告領域を担務する4社の2021年の予測も加えている。
2020年の日本の総広告費は6兆1594億円(前年比88.8%)と前年を大きく下回る結果となった。
「インターネット広告費」は新型コロナウイルスの影響を受けたものの成長を続け、「マスコミ四媒体広告費」に匹敵する2.2兆円規模、総広告費全体の36.2%の市場となった。
また、「インターネット広告媒体費」(「インターネット広告費」から「インターネット広告制作費」、「物販系ECプラットフォーム広告費」を除いたもの)は1兆7567億円(前年比105.6%)。運用型広告の拡大や巣ごもり需要によるソーシャル広告や動画広告の増加により、伸長がみられた。
今回の分析のポイントは以下の4つ。
ビデオ(動画)広告は3862億円、インターネット広告媒体費全体の2割を超える
2020年のインターネット広告媒体費は、1兆7567億円(電通「2020年 日本の広告費」)。そのうち構成比が高いのは検索連動型広告(38.6%)とディスプレイ広告(32.6%)で、あわせて7割を占める。
中でもビデオ(動画)広告は、前年比121.3%の3,862億円と伸長。全体の2割を超えた。内訳は、インストリーム広告46.6%、アウトストリーム広告53.4%の構成比(今回初推定)。2021年には全体で前年比110.4%の4263億円になると予測されている。
次いで、成果報酬型広告(5.6%)、その他のインターネット広告(1.1%)と続いた。
運用型広告が前年比109.7%と成長、予約型広告、成果報酬型広告は減少
取引手法別に見ると、現在の主流となっている運用型広告はインターネット広告媒体費全体の8割超、1兆4558億円となった。
一方、予約型広告と成果報酬型広告は新型コロナウイルスによる出稿控えの影響を受け、「予約型広告」(前年比87.5%)、「成果報酬型広告」(同93.9%)といずれも減少した。
また、取引手法別に併せ、広告種別でも分析したものによると、運用型の検索連動型広告が全体の38.6%と最も構成比が大きく、次いで運用型のディスプレイ広告が25.7%と続いた。
また運用型の「ビデオ(動画)広告」が前年比127.2%と大きく伸長。インターネット広告媒体費全体における構成比は18.3%となった。「ディスプレイ広告」の予約型は前年比80.1%と減少した一方で、運用型は同112.1%で伸長した。
ソーシャル広告は5,687億円で、インターネット広告媒体費全体の3割超に
SNSや動画共有プラットフォーム上などで展開されるソーシャル広告は前年比116.1%の5,687億円となり、インターネット広告媒体費全体の32.4%となった。
また、ソーシャルメディアの種類別に「SNS系」「動画共有系」「その他」に分類すると、「SNS系」が2488億円で最大。「動画共有系」が前年度の1139億円から1585億円と大きく伸長した。
2021年の成長見込みは、全体で1兆8,912億円(前年比107.7%)
2021年のインターネット広告媒体費は、昨年から続く新型コロナウイルスの影響で見通しづらいものの、継続して伸長。2021年には全体で前年比107.7%、1兆8,912億円になると予測された。