味の素AGFは2月24日から、EC限定で新ブランド「Work Design Coffee(ワークデザインコーヒー)」の販売を開始した。20~40代男性を中心に“働く人のための、働き方をサポートするコーヒー”として、ドリップコーヒーの「いきぬき」のほか、インスタントコーヒーは「あいま」「ながら」の2種を展開している。いずれも職場や在宅で働く人の時間の使い方を考え抜いている点が特徴だ。
「ブルーのパッケージの『いきぬき』は、昼休みなどゆとりがあるシーンに。オレンジの『あいま』は仕事の合間に飲み切れる小容量。グリーンの『ながら』は冷めてもおいしさが続く大容量タイプなので、仕事中の“ながら飲み”に適しています」とECビジネス部の山本倫子氏。
「当社の主要ラインアップは女性向けが多く、20~40代男性に特化したブランドは初の試み。制作チームの皆さんがまさにターゲットだったので、積極的に意見を取り入れていきました」(山本氏)。
始動したのは2020年夏の終わりごろ。クリエイティブディレクター 塩見勝義氏が率いる博報堂チームが参画し、「Work Design Coffee」のブランドコンセプトやネーミングを策定した。その内容を踏まえ、塩見氏がアートディレクターの橋本尚太氏に声をかけロゴやパッケージのデザインが決まっていった。
「“働き方を自分の意思でデザインしたい人”をサポートするコーヒーというのは新たな価値になる。そう考え、ストレートに『Work Design Coffee』と名付けました」と博報堂 プラナーの岡﨑翼氏は話す。
橋本氏はターゲットのイメージとして、“シリコンバレーのスタートアップで働く男性”と設定。知的でクールなD2Cブランドのような世界観を目指し、初回の打ち合わせから現行の「WD」ロゴ案を持ち込んだ。
「『WD』のロゴを回転させると、湯気や香りが立ちのぼるカップのようにも見えるし、一息ついてリラックスした口元にも見えるのがポイント。3種のパッケージのカラーリングは、グレーとビタミンカラーのグラデーション。仕事モードからリラックスする時間へと切り替える気分の変化を表現しています」(橋本氏)。
さらにこのパッケージには二次元コードがあり、読み込むとブランドサイトからオリジナルの仕事用BGMを生成する「Work Design Music」という機能も搭載した。coton社が提供する音楽生成技術を用いており、「好みのコーヒー」「これから行う仕事の種類」「どんな場所で働きたいか」という3つの質問に答えるとAIが最適なBGMを提案してくれる。季節や利用した時間帯も加味されるためBGMのパターンは無限だ。
一方で、パッケージに二次元コードをそのまま印刷すると、デザインの世界観を損ねてしまうという懸念もあった。かといって目立たない場所に配置すると、利用につながらない。そこで橋本さんは、二次元コードを囲む形でヘッドフォン型のアイコンを開発。一目で機能を理解できるようにした。よく見ると、このアイコン自体が「WD」ロゴの「D」の造詣を組み合わせてデザインされていることがわかる。
さらにブルーのパッケージの「いきぬき」では、下からひとつずつ個袋を取り出せる専用収納ボックスも開発。箱のベースは白色とし、上部にはカラフルな「Work Design Coffee」のロゴが。これは今後、「いきぬき」以外に他のキーカラーのアイテムが増えた場合にも同様に使えるようにするため。
「オフィスなどの共有空間で不特定多数の方が利用する場合に、他の個袋に触れないようスムーズに取り出せる設計で衛生面に配慮しています。中央部は『D』のロゴの部分が小窓のようにくり抜かれたデザインとし、残数も見やすくしました」(山本氏)。
チーム一同、今後もコーヒー以外を含め、「働き方をデザインする」ブランドとして新価値提供や他社との協業を進めていく予定だ。
スタッフリスト
- 企画制作
- 博報堂
- CD+C
- 塩見勝義
- 企画+C
- 岡﨑翼
- AD
- 橋本尚太
- 撮影
- 佐藤新也
- 音楽
- coton