広告コピーというと、一般にキャッチフレーズを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、本書がテーマとしているのはボディコピー、中でも近年、多くの企業が掲げる方針、約束、声明、宣言などの「ステートメント」です。
この「ステートメント」に着目した初と言える書籍『ステートメント宣言。』(岡本欣也著)が、宣伝会議より全国書店とオンライン書店で発売となりました。
近年、企業、商品、サービスの広告ということにとどまらず、プレゼンテーション、インナープロジェクトのコンセプトの策定など、あらゆるフェーズで「ステートメント」が求められるようになってきています。コピーライターとして多くの広告を手がけてきた著者は、ステートメントを書くことは「商品や企業が生まれてきた理由を探す」ことであり、広告の仕事とは「その眼差しのことである」と言います。そして、そのことを著者に教えたのは、「すべての商品には、必ず存在理由がある」と言った師匠であるコピーライター 故・岩崎俊一さんです。
本書では、師匠の言葉に導かれて書いてきた自身のステートメントと他の方のステートメントを織りまぜながら、その時考えたこと、話し合ったことなどを綴っています。本書ではこれからの時代におけるコピーライターに求められる仕事を改めて捉え直し、著者が培ってきた技法や考え方を公開。同時に、多くの人に伝わり、心に残るコピー、言葉とはどんなものなのか、本書を手にした読者の皆さまにも改めて考えていただく機会になると思います。広告に限らず、仕事の中で文章を書いているすべての人にぜひ読んでいただきたい1冊です。
また、師匠・弟子つながりで、ナイツ塙宣之さんとの対談も収録しています。
目次
はじめに
第1章 商品が「生まれてきた理由」を探す
どんな企業にも存在理由はある
プロジェクトを動かすのは300文字の手紙
ステートメントは、夢を牽引する
ボディは、添え物ではなく、本体
ステートメントにまぐれ当たりはありません
自信を失っている企業を、奮い立たせる
ステートメントは、インナーにも届く
コラム① 慣れんなよ。
第2章 わからないから聞く、わからないから書く
ホームページに話を聞くな
書くことの半分は、聞くこと
いい問いは、いい答えである
見出しを後回しにない
考えてから書くのではなく考えるために書く
迷ったら、迷わず、原点
太宰治というコピーライター
コラム② 正直の専門家になろう。
第3章 本当のところを、自分に問いながら
自分で自分を取り調べる
課題のなかの、真理をさがす
真実さえあれば何もこわくない
「違い」ではなく、「同じ」を語りたい
飲み込みやすい言葉に整える
紋切り型を捨てる紋切り型を使う
いいコピーは裏切りをはらんでいる
コラム③ 言葉に、文句を。
第4章 書くことは、生きること
あなたに会えたお礼です
理不尽の、その先に
ひとりでは、つくれないもの
幸福と人生
対談 ナイツ塙宣之×岡本欣也
おわりに
岡本欣也(おかもと・きんや)
コピーライター・クリエイティブディレクター
岩崎俊一事務所を経て2010年オカキン設立。
TCC賞、ADC賞、各新聞社の広告賞など受賞多数。
代表的な仕事
ジオス「英語を話せると、10億人と話せる。」
JT「大人たばこ養成講座」「あなたが気づけばマナーは変わる。」
キリンフリー「飲酒運転を、0.00%に。」
家庭教師のトライ「トライなら、落書きするヒマを与えません。」
ブックオフ「ゆるく行こうぜ、休日ブックオフ。」
ホンダ「ハイブリッドカーを、安くつくれ。」
WOWOW「いいもの、ゴロゴロ。WOWOW」
京王電鉄「東京は、美しい。」
金麦ザ・ラガー「人間、飲んで食ったら、大満足。」
GODIVA「日本は、義理チョコをやめよう。」など。
日本郵便「年賀状は、贈り物だと思う。」
ミツカン「やがて、いのちに変わるもの。」
など岩崎俊一さんとの共作多数。