ラジオCMの魅力、低予算でもアイデアで勝負できる!
中村:じゃあ早速いきましょうか。ゴールドを受賞したCMを聴いていただきましょう。ゴールドは3作品あります。そのうちの1つめ、第一三共ヘルスケアの「第一三共胃腸薬プラス」のラジオCMです。
〜ACCゴールド 第一三共ヘルスケアの「第一三共胃腸薬プラス」
「おいしい音・ラーメン」篇/「おいしい音・ビール」篇/「おいしい音・野菜炒め」篇〜
権八:なるほどね。工夫だわ、これは。
井村:これまでも、例えば波の音は貝殻で鳴りますよ、みたいなことは言われてましたけれど、これは新しいなと思ったんですよ。この音はこう作るんだっていうことに対してあまり知らないパターンが出てきていて。そこに工夫があるなと思いましたね。
澤本:だいたい誰が、雨の日にたわしで擦ったんだろうね(笑)。もともと気が付いた人がいるわけじゃない?
権八:あーー。もしかしたらそういうのはネットとかに上がっているかもしれないですね。
一方で僕もちょっと違った視点があって、ラジオCMの自由さを感じたというか。微妙なところなんですけれど、胃腸薬って口に入れるものだから、そう聴こえるからといって、トイレットペーパーの芯とか、あるいはバケツの水をストローでというと、面白いのは分かるけどそういうモチーフはやめてくれ!ってテレビの仕事ではなりがちじゃないですか。
澤本:はいはいはい。
権八:口に入れるものって、生理的なものだからね。ラジオにはそれをやらせてもらえる土壌がまだあるっていうか。
澤本:そうだよね。
権八:ラジオ CMは、そういうチェックは少しユルいっていうか。ちょっとごめんなさい、違った視点で聴いちゃいました。
井村:ラジオCMにはビジュアルがないんですよね。例えば去年のグランプリは、ゴキブリがテーマだったんですけど、実際にゴキブリを映すわけではないということで、ワンクッション、ユルくなるところが、クライアントさんもリスナーもあるんじゃないですかね。
権八:そうなんですね。でもやっぱりすごく面白い。完全に騙されちゃったね、耳がね。
中村:やっぱりその面白トンチというか、プランナーにとってもラジオCMはアイデアの登竜門的な感じになっているんですかね?
澤本:そうですよね、アイデアだけで勝負できるところがけっこうあるし、作るのに予算もそんなにかかんないから。若い人が考えた面白いものを実現する場になってるような気がするけどね。
中村:なるほどね。低予算でもアイデアが光ったらちゃんと浮上するっていう。
権八:テレビCMと比べると、ラジオCMはタレントとかを使わずに、本当にアイデアで、かつ低予算で突破しているっていうのが素晴らしいところですよね。