モチーフ選びに定評あり!澤本さん賞賛の筆ペンCM
中村:はい、もう一個聴いてみましょう。続いてACCゴールド作品の3作品のうちの2つめ。パイロットコーポレーションの「筆まかせ」のラジオCMです。
〜ACCゴールド パイロットコーポレーション「筆まかせ」
「メモ」篇/「張り紙」篇〜
中村:これまた面白いですね(笑)。コピーも“無駄に格式高くなる”っていう。ある種投げやりでもあるけど、なんか若者的な。まさにウケそうな感じでいいですね。
井村:筆ペンのラジオ CM なんですけど、これはけっこう推す人がはっきりしていた感じで。好きな人は好きだったCMという感じですかね。
澤本:うん。
井村:この声で何かを表現するっていうのも、よくあることではあるんですけども。審査員の(笑福亭)鶴光さんが、「これ歌舞伎というよりは能なんじゃないか」っておっしゃったりなんかして。
中村:鶴光さん、そんな深いことをおっしゃるんだ(笑)。
井村:審査員の橋本(吉史)さんは、「この声がいい!」って。この作品はナレーター賞も受賞していますね。
澤本:ペンとかのラジオ CM で、「ペンが乱れている」っていうのを、人の声の乱れとかで表現するっていうのはたぶん今までいくつかあって。だから声で何かしら文字を表現するっていう表現がある中で、筆ペンっていうものと、ある種の格式っていうものとが時代的にうまくハマったっていうのが評価されている一番の理由だと思いますね。あと声もそうだけど、2本目に選んでいるトイレの張り紙は良かったんじゃないかなと思っている。
中村:あるあるですもんね。目に浮かぶっていうか。
澤本:そうそう。張り紙みたいなものも筆ペンで書いたらこうなります、っていうモチーフの選び方がとても上手だったような気がしますね。
権八:お笑い芸人の「すゑひろがりず」って知ってます?2019年のM-1の決勝まで進出していましたけど、くだらないことをこういうトーンでずっとやる。すゑひろがりずのネタもまさに、この筆ペンのCM的な着想ですよね。要するにくだらないことやCMのなかでいうトイレの張り紙みたいなことを、すゑひろがりずは、こういうしゃべり方で合コンするみたいな感じで、面白いですよね。
中村:はい。ということでゴールド受賞のパイロットコーポレーション「筆まかせ」から2本、「メモ」篇、「張り紙」篇をお送りいたしました。というわけでですね。これはなんと!次回に続きますね。
澤本:来週?
中村:そろそろお時間になってきましたので、来週も引き続き今年の審査委員長、クリエイティブディレクター・CM プラナーの井村光明さんと ACC ラジオ CM 特集をお送りするんですが、改めて本!
井村:またですか(笑)。
中村:前半にも言っていましたけど、『面白いって何なんすか!?問題』(ダイヤモンド社)。この本を読むと、面白いとは何かということが分かる。
井村:企画とか、なかなかできなくて困ってるなーと思っている方は、自分は一人じゃないんだよというふうに語りかけている本になっていますので、ぜひ読んでいただければと思います。
澤本:でも井村くん、授業むちゃむちゃうまいらしいよ。
権八:あーー。
澤本:だから授業のうまい人が書いている本だから、教えるのがうまいんじゃないかな。
権八:イムリンのいいところは、すごい自分がうんうんうなって、辛い思いをしている(笑)っていうような、そんなことばっかり書いてあるんですよ(笑)。
井村:まあ、愚痴っぽい本です。
権八:愚痴っぽい(笑)。でもそれが面白いですよ、正直で。とにかくこういう本って、自慢話というか、こうやったらこう思いついたよって後付けでいかようにも言えちゃうじゃないですか。でもこの本は、すごく正直で。意外と僕らの仕事って、地味で、一人でうんうんうなって、ぐるぐるぐるぐる同じところを考えたりする職業じゃないですか、ほんとはね。その辺のことも赤裸々に語っていて、とても共感する内容になってございます。
中村:また来週も。
権八:また来週も宣伝しよう。
中村:来週の「すぐおわ」も、ACCラジオCM部門ゴールド作品とグランプリ作品をお送りしますのでお楽しみに!
<後編につづく>