「リテールメディア」が米国にて活況だ。リテールメディアとは、小売が保有する購買などのオフラインデータを活用して広告配信する仕組みだ。日本でもそのトレンドが生まれつつある。 小売・メーカー向けDX支援、リテールメディア開発を行うアドインテが、日本での推進をしている。
「当社は、『AIBeacon』という独自開発のIoT端末があります。Wi-FiセンサーとiBeaconが一体化したIoT端末で、iBeaconでは実現困難な店舗分析を実現できます」と、アドインテ取締役副社長兼COOの稲森学氏は話す。
従来型Beaconが持つ欠点を解消した端末で、個人情報を取得することなくデータ収集が可能になる。これらのオフラインデータを保有する大手小売と連携した「アドインテリテールメディアADプラットフ ォーム」(図1)を、同社は提供している。オンラインだけではなく、オフラインデータを連携することで、精度の高い広告配信を実現している。「各小売業と連携を進めており、分析連携可能な決済流通総額は1兆9000億円を突破しました」と稲森氏。
メーカーの施策に必要なデータ
リテールメディアの登場により、ウェブ広告業界が変わると稲森氏。 デジタル上のデータを活用しターゲティング広告を配信するのではなく、購買データをもとに配信が可能になるためだ。
「メーカーの宣伝、マーケティング部の方々から、今まで分析不可能だった広告効果が詳細に分析できるので高い評価をいただいています。従来の認知獲得、興味関心を得ていくプロセスから、購買起点の逆算型のプロモーションを実施することができるからです」。
自社商品離脱者や競合商品の購入者に対する広告配信によりROAS(広告費用対効果)が高く、どのブランドからのスイッチなのかも分析できる。また、個人情報に触れることなく、匿名化情報のみによる配信・分析となるため、プライバシーの配慮も十分になされていることも特徴だ。
海外と同様に協業が進む
図1「アドインテリテールメディアADプラットフォーム」の全体像
新たな収益にもなるため、小売のリテールメディア構築も格段に増えていると稲森氏。
「メーカーとの共同販促を実施しても、購買地点まで分析することは困難でした。ですが、リテールメディアを活用すれば、購買行動変化まで分析できるので、Win-Winな施策になり、 分析データから次の効果的な施策につなげることも可能になります。 小売とメーカー営業部門のコミュニケーションの枠組みから、宣伝、マーケティング部門の方々からの相談も増えており、 メディアとして認知していただけるようになってきたと思います。SNSメディアに配信するとしても、 購買データと連携されたデータを活用し同じメディアへ配信できる方が良いと確信しています」。
消費行動の8割は店舗が占めている。従来枠売りだった広告が、枠から人へ、今後は時空間の理解と活用に移行すると考えており、リアル店舗データを活用しない理由はないと稲森氏。
メーカーと小売がともにブランドを育てることができるようになる。稲森氏は今後、「小売保有データのDSP化を進め、小売とメーカーが協業してブランドを育てられる環境をつくり、来店計測というレベル感ではなく、さらに進化したデジタル広告プラットフォームを構築したい」と展望を語った。
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