東京コピーライターズクラブ(以下 TCC)は毎年、『コピー年鑑』発刊に合わせて、広告コピービッグデータ解析を行っている。今年も3月29日に発売となった『コピー年鑑2020』に応募された6000点を超える広告コピーを分析し、2019~2020年を象徴する1行を発表した。
6回目となる今年は、AR三兄弟の長男、川田十夢氏とタッグを組み、彼らが独自開発したシンガー・ソング・タグ・クラウド(歌詞を分析してアーティストの深層を考察する解析システム)という手法を使用。全応募6230作品(応募対象作は2019/3/1~2020/2/29に実際に使用された広告コピー)を形態素解析して品詞ごとの頻出用語を抽出・分析し、2019~2020年を象徴する1行を編み出した。その1行が、こちらだ。
具体的な分析は下記になる。
もう:2019年度の頻出副詞1位は「どう」だったのが、2020年度は「もう」に変化した。
令和:2019年度は登場せず。2020年度は54回登場。
の:2020年度の頻出助詞1位は「の」10229。次点「に」7666。
私:2020年度の頻出代名詞1位は「私」700。次点「あなた」438。
です:2020年度の頻出助動詞1位は「です」2487。次点「ない」2453。
2019年5月に元号が変わり、コロナの足音が聞こえ始めた2020年の初頭。分析対象の広告が世に出ていた頃、我々の生活はまだそんなに大きく変わってはいなかった。しかし頻出副詞の1位が「どう」(2019年)から「もう」になったのは、平成から令和という「未来」へ向いていた前年の目線が、令和になってから「今現在」に向けられるようになったからか。コロナ禍で起こることになる、人々の気持ちの変化を表して(予感して?)いるようにも思える、非常に興味深い結果となった。
また、今年は新しい試みとして、コピー年鑑の表紙にスマホやタブレットをかざすことによって体験できるARもリリース。ARでは、「コピー年鑑2020」のテーマである「集まる」も表現されている。
川田氏は今回の分析と企画にあたり、次のようにコメントを寄せている。
「TCC年鑑の記念すべき号で、こうしてコラボレーションさせてもらって大光栄です。コピーライターは、ある意味、時代に感情を組み込むプログラマーだと捉えています。開発の合間にその言葉を読んで、想像して、いつも楽しませてもらっています」。
ARは専用のアプリケーションを入れなくても、下記のURLにアクセスすれば、3月29日より約1ケ月、期間限定で体験できる。
■期間
2021年3月29日(月)~2021年4月25日
■操作方法
下記のURLにアクセスして、スマートフォンやタブレットのカメラを起動し、『コピー年鑑2020』 の表紙のロゴ部分にかざす。
■URL
URLはこちらから
■デモ動画
コピー年鑑2020の発売を記念して、年鑑を拡張しました。応募された全6230作品の言葉を品詞ごとに分析、2020年度を象徴する言葉を抽出。表紙のぐちゃっとしたタイポグラフィをファンクションとして解釈、拡張現実的にムービングタイポグラフィを実装した感じ。 pic.twitter.com/yoGJdwOHO8
— 川田十夢 (@cmrr_xxx) March 28, 2021
『コピー年鑑2020』の詳細はこちらから