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【前回のコラム】ことばで伝える仕事に惹かれて。こちら
杉本 和久(株式会社リイド アートディレクター)
デザイナーだって、コピーを書く時代。
僕は制作会社に在籍するアートディレクター。おもな業務は販促ツールのディレクションやデザイン。具体的には、商品カタログや、Web、パッケージデザイン、企業ロゴなど、さまざまなことをやる。もちろん広告もやる。
この業界は、デザインやコピーを完全に分業する時代ではなくなっている。コピーライターもデザインのアイデアを提案するし、デザイナーが写真を撮ったりもする。それぞれの役割の境界をこえて仕事をしている。近頃はデザイナーがコピーを書く機会は、確実に増えてきていると思う。
いいコピーは、アイデアのクオリティを上げる。
「コピーが書けるデザイナー」とは、誤解を恐れずに言えば、「ひとりで何でもできる人」のことだ。自分のアイデアにコピーが必要だと思ったら、自分で書いてしまえばいい。いいコピーが入っているアイデアは、ダミーコピーが入っている場合にくらべて、ずっと説得力が増し、とてもいいアイデアに見える。そして、コピーに引っ張られるようにデザインの修正ポイントまで見えてくる。これがいい連鎖を生み、勝手にいい方向に転がっていく。
逆に入れたコピーがイマイチだと、デザインまで良くない気がしてくるもの、そこから良くない原因探しがはじまり、デザインとコピーの両方を延々なおし続けることになる。
コピーを人に頼んでいたら間に合わないこともある。
一方で、提案までのスピードが求められているいま、デザインとコピーが同時に必要なんてことも増えてきている。あまりにスケジュールがタイトなため外注できず、たとえ荒削りでも自分でコピーを書かないと間に合わないこともある。もらった素材を組み上げるだけのデザイナーだと、この流れについていけなくなってしまう。
さらに、コロナの影響など、プロジェクトがオリエン段階ですでに遅れていて、なんとか巻き返そうとしているような場合でも、最初からコピーも含めた完成度の高いアイデアが提案できれば、すこし状況を良くすることができるはずだ。
これが、アートディレクターの僕が、コピーライター養成講座に通うことにした理由だった。
他の受講生50名以上から、新鮮な刺激を得られた。
いざコピーを学んでみると、実に楽しい。悩み抜いて考えたものより、ふざけたアイデアが評価されることもある。ダメ出しに落ち込むこともある。思いついていたのに提出しなかった切り口をほかの受講生が提出し、評価されて悔しく思うこともある。上位10名がもらえる「金の鉛筆」*を手にしたりすると、ついニヤニヤしてしまう。
そしてなにより、年齢も価値観も違うたくさんの人たちに出会える。普通に暮らしていると、こんな機会はなかなかない。しかも、他の受講生からは、自分が考えつかないような斬新な切り口がどんどん出てくる。これは大きな刺激になった。僕にとっては、毎回50人以上講師がいるような感じだった。
伝えることを言語化することで、全員が迷わずに進める。
講座を受けてあらためて実感したのは、デザインとコピーの作り方には共通点が多いということ。伝えるべきことは、どちらも変わらない。表現手法がビジュアルか、言葉かだけの違いだ。
だからこそ、コピーを学ぶことは、デザインにもいい影響があると思っている。アートディレクターからクリエイティブディレクターを目指す人なら、コピーを知ったほうがいい。コンセプトをちゃんと言語化できたほうがいい。そうすれば、迷うことなくチームみんなで正しい方へ進んでいける。
なぜか、もっとコピーが書きたくなった。
コピーライター養成講座 基礎コースを終了したとき、実は、すこし困っていた。もっと、コピーが書きたくなっていた。うすうす気づいていたけど、実はデザインよりも、コピーほうが好きかもしれない。30年もこの業界にいて、いま気づくのか、このタイミングで。
そして、僕はコピーライター養成講座 上級コース 地域専門クラスに通いはじめた。名刺の肩書をどうするか、いま真剣に考えはじめている。
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杉本 和久(すぎもと かずひさ)
1970年11月26日生まれ 株式会社リイド アートディレクター。デザイン専門学校を卒業後、制作会社や代理店などを経て今に至る。主に自動車メーカー、ハウスメーカーを担当。カタログ・ポスター、Web、パッケージデザインなどを手掛ける。心のなかではコピーライター1年生。コピーライター養成講座 名古屋教室 基礎コース第25期修了。現在、上級コース 地域専門クラス受講中。