【JTBグループ&ニジボックス】徹底したリサーチが、新規事業を成功に導く

ニジボックスは、リクルートの新規事業起案制度Ringから誕生したUI/UXデザイン会社。デザイン思考に基づいたUI/UXデザインプロセスから、開発・運用・改善までをワンストップで提供している。近年は新規事業の立ち上げや既存事業のてこ入れなどに伴走しながら、課題解決のサポートを行うケースも増えているという。

訪日旅行事業を手がけるJTBグローバルマーケティング&トラベルが新規事業の立ち上げに際して、ニジボックスに相談した内容とは。これまでの両者の取り組みについて聞いた。

JTBグローバルマーケティング&トラベル 小林秀行氏
ニジボックス 丸山潤氏

丸山氏(左)と小林氏

新規事業のニーズ調査から伴走し、ノウハウを提供

—JTBグループには旅行やコンベンションなど様々な事業がありますが、担当している領域についてお聞かせください。

小林:JTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBGMT)は、JTBグループの中でも訪日旅行(インバウンド)専門の旅行会社です。社内は本社機能に加え、2つの事業部から構成されています。B2B営業を軸とした営業本部ではMICE、レジャー(団体旅行、個人旅行)を取り扱っています。FIT Solution事業本部では、オンライン販売を通じた個人旅行の宿泊販売や、訪日外国人観光客向けツアー(JTBサンライズツアー)の企画造成から運行管理までを行っています。

私は後者を統括しています。既存事業のノウハウを活かしながら、新規事業として新たな旅行の領域や可能性を開拓していくこともFIT Solution事業本部のミッションとしています。

JTBグローバルマーケティング&トラベル FIT Solution事業本部長 小林秀行氏

大学卒業後、日本アジア投資、インデックス、リクルートエージェント、楽天などで主に海外の事業開発、投資買収に従事。海外6カ国・地域での勤務と3回の起業経験を経て2019年10月にJTBGMTに入社、2020年1月から現職。

—ニジボックスに相談した経緯は。

小林:社内で新規事業の提案制度を3年ぶりに復活させ、出てきた案件をいくつか進めていくことになりました。旅行業界はコロナ禍の影響も大きいため、新しい事業の種を育てていくことも必要との判断です。

ただ、社内にはそれを担えるような経験を持った人材が限られていたため、社外の力を借りたいと考えていました。ニジボックスに相談したのは、新規事業の立ち上げ経験が豊富なリクルートのグループ会社であったことが大きいですね。

構想に上がっている事業の一つにフォト事業があります。観光客をドローンで撮影し、その対価をいただくというサービスなのですが、そもそもユーザーはそれを必要としているのか、具体的にどのようにサービスを提供するのか、ユーザー調査をどのように行うのか、そこから相談しました。最初はすごく漠然とした内容でしたね。

丸山:漠然としたご相談をいただくことは実はよくあります(笑)。新規事業に取り組む際には、出てきたアイデアやマーケットニーズを整理して、それを細かく分けて検証していくというプロセスがあるのですが、こうしたプロジェクトの進め方が分からずに困っているケースが多いんです。

私たちの強みはそこにあります。リサーチを通してよりニーズのある分野に注力できるよう、アイデアの整理を行います。具体的には、ビジネスになりそうなペルソナを想定して、そのペルソナにインタビューしてニーズを引き出します。ニーズの中でもどのニーズが強く、どのニーズが弱いのかということを整理して、アーリーアダプターと呼ばれる、その事業・サービスを必要としている人を見つけていくのです。

ニジボックス 執行役員 兼 UI/UX制作室 室長 丸山潤氏

2011年、デザイン・フロントエンド技術者として、UI開発に深く携わる経験を経てリクルート⼊社。インキュベーション部門に参画し、UX開発組織のGMに就任。ニジボックスでは、プロダクト開発支援を始めとした新しいUXソリューションの開発を推進する。

私たちはクライアントに伴走しながら、そのノウハウを提供していきます。作業ごと請け負う場合もありますが、基本的にはプロセスを学んで、自社でできるようになっていただきたいというスタンスです。

小林:ニジボックスをいいと思ったのはそのことが大きいですね。プロセスを勉強して社内で人材を育成していかなければ、この先も自分たちでは新規事業ができないということになってしまいますから。

漠然としたインタビューはNG、徹底的に掘り下げる

—ニーズを引き出すのは容易ではないと思います。リサーチを成功させるためのポイントは何でしょうか。

丸山:よくあるのは、漠然とインタビューを行って、漠然とした回答を持って帰ってくること。インタビューされた人も、自分が本当に何を必要としているのかが分かっていないことが普通なのです。そこを深く聞き出すことがポイントです。

例えば、「お金が儲かるなら投資をしてみたい」と思って証券会社に来た方に、どのくらい儲けたいのかと聞くと、「親のような生活がしたい」といった答えが返ってくることがよくあります。そこで終わりにせず、年に3回は海外旅行に行きたい、週末は必ず外食したい、など、インタビューする側が分解してあげることで、徐々にインサイトに近づいていきます。ここを中途半端にしてしまうと、本当のニーズが見つからないまま企画を進めることになってしまいます。

私たちが得意としているのは、インタビューの質を上げて、本当のニーズを引き出すこと。そして、それを新規あるいは既存のプロダクトに反映していくことです。リサーチを突き詰めることで、チームもよりまとまりますし、社内への説得力も生まれます。

ニジボックスが手がける事業開発支援の一例。事業立ち上げからサービス成長までを5つのフェーズに分け、それぞれの段階に適した支援を行う。

—新規事業以外の相談が来ることも多いのでしょうか。

丸山:既存事業の強化について相談を受けることもよくあります。例えばWebサイトの改善であれば、ABテストで短期的な数字を求め続けた結果、使いづらいサイトになり顧客が離れてしまっているというケースがあります。欧米企業の多くは、機能追加を行う際に事前にリサーチを行い、機能追加すべきかを判断します。また、リリース後もリサーチを行い、それで本当に良かったのかを検証しています。日本ではそういったプロセスを行っている企業は多くありません。新規事業でも既存事業でも、リサーチの重要性は強調したいですね。

▶︎ニジボックスの実績はこちら

—JTBGMTの新規事業は、どのように進んでいますか。

小林:12月にご相談して数カ月経ったところですが、ターゲットのペルソナ設定の方法などを学びながら取り組んでいます。実証実験も進めているので、これからはそこで見えてきた課題をシステム開発やサービスづくりに生かしていきたいと考えています。

新規事業は、「頑張って取り組んでいるから」と感情が先に立ち、周りが見えなくなって正しい判断を下せないことが起こり得ます。ニジボックスと一緒に進めていくことで、このサービスが本当に必要なのか、お客さまをきちんと見て判断しようという意識も働きやすくなります。冷静な視点で伴走してくれることもメリットだと思います。

丸山:JTBGMTは、新たな事業の種を育てていこうという意識が経営陣から現場まで共有できていることが素晴らしいと思います。先の見通しにくい取り組みを進めていくにあたって、最も重要なことかもしれません。

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デザインフローや強み、具体的な案件事例までをご紹介
【ニジボックスのUXデザインサービス概要資料】

 
ニジボックスはリクルートのノウハウを活かし、お客様の事業フェーズに合わせて、5つのUXデザインフローをご用意。ビジネスのアイデアが思いつかない、アイデアは浮かんでいるけれどニーズがあるか分からない、企画は決まっているが開発に不安がある、既存のサービスをもっと成長させたいなど、課題に即したサービスを提供しております。



株式会社ニジボックス
URL:https://nijibox.jp/
 

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