パラスポーツが「できる」まち江戸川区
共生社会の実現のために、かねてから力を入れているのがパラスポーツの振興だ。2016年4月には都内で始めて専担組織である障害者スポーツ係を設置し、普及啓発を推進してきた。さらに2019年4月にはスポーツに関する相談窓口「スポーツコンシェルジュ」を設置。障害の有無を問わず、誰もがスポーツ相談ができる窓口で、区立のスポーツ施設7カ所に設置されている。
各施設では、誰もが運動やスポーツをあきらめず親しめるよう、健康運動指導士などの資格者をはじめ、経験豊かな職員が相談に応じ、各人に最適なスポーツや運動教室などを紹介。また、理学療法士や作業療法士が参加する相談会も、月に1度2施設で開催している。
2021年度には江戸川区医師会と連携し、医師に相談できる環境も整えるなど、障害や運動に不安のある人のスポーツや運動参加への敷居を下げる取り組みを進めている。ほかにも、障害者向けの多彩なスポーツプログラムを展開していて、2019年に「先導的共生社会ホストタウン」に登録された要因のひとつとなった。
さらに、2020年12月には「東京パラリンピック22競技“できる”宣言」を発表。東京パラリンピックの全22競技を区内でプレー(練習や試合)できる環境づくりを進めた。全競技がプレーできる自治体は全国初である。担当者によると、同区が必須の機材などを購入したほか、既存の区施設や民間の道場、スポーツクラブなどでパラスポーツを実施できるよう、環境を整備したという。現在は、車いすバスケットボールや車いすラグビー、ゴールボールのチームなどが活動している。
こうした取り組みを周知しスポーツ参加のきっかけとするため、2021年2月には観光情報誌『るるぶ』を手掛けるJTBパブリッシングと共同で、情報誌を発行した。
担当者は「これらの活動で江戸川区が目指すのは、すべての人が運動・スポーツを通して生きがいをもって人生を送れること」と話す。障害者の選択肢をさらに広げ、より自分らしく暮らせる共生社会を運動・スポーツの面でさらに追い求めていくという。
同区で車いす陸上教室の講師を務めるパラ陸上選手の中村嘉代氏も「江戸川区は共生社会の実現に早い段階から取り組んできたと思う。障害者が行動し、活躍しやすい場が増えることは、健康増進や自信につながるだけでなく、障害者と健常者の相互理解が深まる」と評価している。
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