日本郵政は3月31日、3.11から10年を迎える被災地から送られた一通の手紙にフォーカスしたブランドムービー「東北から郵便です」をWebで公開、河北新報に「思いが届く、というあたり前を今日もかなえよう。」と題した全15段の新聞広告を展開した。
東北へ多くの支援が送られた東日本大震災から10年経ち、最近では東北から各地へ送られるものも増えてきた。その中には、誰かへの感謝や約束、決意といった、東北の皆さんの大切な一歩となる手紙も含まれているという。本企画は、震災からの10年を東北で過ごしてきた方が実際に書いた手紙を取り上げるとともに、創業150年を迎える郵便サービスが、運んでいるものは何なのか、その本質を問い直す。
ブランドムービー「東北から郵便です」で描かれるのは、被災し今も仙台に住む星知宏さんと石巻に住む阿部孝子さんが、家族や被災した際にお世話になった方へ向けた一通の手紙だ。「『手紙』という総論ではなく、『一通』にフォーカスすることに徹底的にこだわりました」と電通 クリエーティブディレクター 長島龍大氏。「東北のあゆみは、東北という単位ではなく、東北を生きる一人ひとりで違います。そこに焦点を当てる狙いです」。
その手紙を星さんと阿部さんが読み上げる声に合わせて、仙台と石巻の風景が映し出される。「東北の人の思いを抱えた赤いバイクや車やポストが、生活にそっと寄り添うように存在している様子をあくまで風景の一部として切り取りました」と電通 アートディレクター 熊谷由紀氏が話す通り、郵便が日常に溶け込んでいる様が伝わってくる。
また、手紙を届ける仕事を日本郵政で担ってきた人の姿も同時に描かれる。新聞広告で見せる、郵便配達員の力強い後ろ姿が印象的だ。「この1年は、人と人の距離が離れ、生活の中でさまざまなものを家に届けてもらうことで暮らしが成り立っていたことを自身が一生活者として強く実感した年でした。そうした中、日本郵政で届ける仕事を担うすべての人に向けても、“思いが届く”という当たり前が、どれだけの価値を持つことなのか、改めて感謝の意味とともに伝えたいと考えました」(長島氏)。
そして、最後を締めくくるのが「走れ。一通のために。」というコピーである。「これからの決意やまた会う約束、手紙の中の言葉が前を向いている時、一通を届ける仕事は東北の一歩を進める仕事でもあります。ロケハン中、ひとけの少ない雄鹿半島で、何度もみた海岸沿いを走る郵便局の赤いバイクに声をかけるように、『走れ。一通のために。』というコピーを書きました」(電通 コピーライター 姉川伊織氏)。
日本郵政 池辺恭平氏は企画意図について、「10年歩んできた東北の被災者の方、そして同じく被災した郵便局員の力になるよう、今回の企画を進めました。ロケ中に日和山公園で朝日が石巻の街を美しく照らしているのをみました。このムービーや新聞広告も、少しでも東北の一人ひとりの気持ちや一歩に光を当てるものになればと思います」と話している。
スタッフリスト
共通
- 企画制作
- 電通
- スーパーバイザー
- 池辺恭平
- CD
- 長島龍大
- 企画+C
- 姉川伊織、杉井すみれ
- AD
- 熊谷由紀
- コミュニケーションプランナー
- 藤本哲平
- CPr
- 中島康恵
- AE
- 上松克明、穴見優
映像
- 制作
- xpd
- Pr
- 古屋奏一朗
- PM
- 近藤弘樹
- 演出+撮影
- 小原穣
- 編集
- 武川哲也(オフライン)、佐藤悠太(オンライン)
- MA+MIX
- 清水天務仁
- 音楽Pr
- 兒玉真一郎
- 作曲+ピアノ演奏
- 秩父英里
新聞広告
- 制作
- アドブレーン
- D
- 佐藤聡宏、伊藤有紀