【前回コラム】「前回踏襲の提案でコンペに敗北した話」はこちら
私はスポーツ観戦が好きで、ラグビーの試合もよく観るのですが、ルールがけっこう複雑ですよね。正直、何が起きているのかよく分からないことがしばしばあります。しかし、中でプレーする選手たちはそういうわけにはいきません。ちゃんとルールを把握し、状況に応じて策を講じながら戦っていることでしょう。
皆さんは、お仕事において「ルールを知らなかった」なんてことはないでしょうか。そして、それが競合コンペで起きていたなんてことも。
競合コンペに参加する際、「どんなルールで審査が行われ、勝敗が決するのか」「どうすれば得点をあげられるのか」「クライアントは何を基準にして採用社を選ぶのか」といったことをきちんと把握して臨んでいるでしょうか。
自分で勝手にルールを設定し、あえなく敗退
今回は、ある日用品メーカーのコンペの話をしましょう。流通向けに新商品を紹介する説明ビデオをつくりたいということで実施され、動画の構成内容の企画と制作見積もりを提出するというものでした。
我々は、「企画内容で差をつけて勝ちたい」と言う営業担当者の意向を踏まえ、動画の内容をガッツリと企画し、キレイなコンテまで仕上げて提出しました。
しかし結果は敗北。後から聞いた話では、単純に見積もりが最も安いところに決まったそうです。動画の構成内容については、あくまでもメーカー側が伝えたいと考えている内容を消化できているかどうかを確認するだけ。企画の良し悪しを吟味するつもりはなかったようでした。
我々は、企画内容に力を入れたため、高めの金額設定をしてしまい、明らかに戦略ミス。まったくの骨折り損でした。事前にクライアントにヒアリングして、選定基準をひと言聞いておけば防げたことだったでしょう。
つまり、我々はクライアントにもっと話を聞くべきなのです。この事例のように、ついつい十分な情報を得ないまま自分たちの解釈だけでルールを設定し、コンペに臨んでしまうことはこれまでにも何度かありました。そしてコンペが終わってから、クライアントの評価ポイントが想定外なところにあったことを知り、愕然とするのでした。