「社会になくてもよいモノ」も「誰かにとっては必要なモノ」
ここまでの話を聞いて割とよくある話だなと思うかもしれません。ここで青二才の私が考えた、この成功を握る鍵は以下の3つだと自己分析しています。
「たばこ」という商材に親和性があるターゲットであったこと
まずターゲットとする人たちが、たばこのことや「Ploom」のことを好きになってもらわないとよくならないと考えました。今回の施策は、たばこをカルチャーとして受け入れているストリートの界隈での話題化につながったことが施策の成功につながったと考えています。
コミュニティの力が強く、その界隈に情報が伝播されていったこと
各個々人に刺さるPRもよいのですが、今回はSNSだけにとどまらずコミュニティ内に広がっていった感覚がありました。「JTのPloomがストリートとコラボしまくっているらしいよ、イケてるね」こんなコメントがコミュニティに伝播されていったようなイメージです。
一過性の施策ではなく、連続的に施策を実施したこと
広告にせよ、PRにせよ、一発の打ち上げ花火で終わらせないことが成功の鍵だったと思います。「愛着」を創出するにせよ、話題をつくるにせよ、最終的にはブランドを手に取ってもらわなければせっかくのPR、マーケティングの意味が薄れてしまうはずです。時間はかかってしまいましたが、施策を連続的に実施することにより、1回では到達できなかった「π」まで情報が広がったのではないかと分析しています。
上記で説明したことはあくまで一例にしかすぎませんし、どんな施策が正解かどうかは正直わかりません。恐縮ですが私がここで言いたいことは、広告、PR、マーケティングは、時間をかけてじっくりブランドを育てていくための「手段」ということであるということ。それら「手段」を「目的」をして考えてはいけないなと学びました。
マーケティングで戦略を立て、広告をつくる。お客さまがそれを見て、足を止め商品を知り、興味を喚起する。そこから商品を使い続けてもらうために、PRで新しいコンテンツを投入、愛着を創出する。これ以外にもお客さま対応や販売店など、お客さまとのさまざまな接点においてコミュニケーションを欠かさないようにすることで、人々に愛されるブランドというものができあがってくるのだと思います。
どんな施策を担当しているにせよ、お客さまに届けたい価値、メッセージは何なのか、それを経てどういう状態になってもらいたいのか、どういうストーリーを描けばよいのか。このようなことを日々意識することが大切なのではないかと改めて感じました。
計3回にわたる連載も今回で終了になります。「社会になくてもよいモノ」を売るというテーマでお話させていただきました。お付き合いいただきありがとうございました。
私自身、賛否の大きくわかれる「たばこ」という商材のマーケティングに携わり、改めて嗜好品の面白さに気づくことができました。商材がなくならない以上、「社会になくてもよいモノ」でも「誰かにとっては必要なモノ」だと思います。私が行っている活動は、誰かにとっての「必要なモノ」を創り出すための活動にすぎません。
そして、マーケティングという活動はそれ単体では力を発揮することはなく、その裏にはいろいろな人たちの活動があってこそ効果をさらに発揮するのではないかと思います。このコラムが、同世代で働くマーケター、そして同じような悩みを抱える方々へこのコラムが少しでものエールになればと思います。
最後になりますが、私と共に5年間戦ってくれたメンバー、取引先の方々にこの場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございました。