*本記事は4月1日発売の『広報会議』5月号の転載記事です。
東京上野にあるサウナ&カプセルホテル「北欧」。2019年7月から放送されたドラマ『サ道』(テレビ東京)で、原田泰造演じる主人公と仲間の2人が行きつけのサウナとして毎回登場するのがこの「北欧」である。
放映後の利用者数は3~4倍になり、テレビの影響力は絶大だったという。「実際は10倍近くの人に足を運んでいただいていたと思います。開店前から並んでいただいて、ほとんどの方にはお断りをしなければいけない反響ぶりでした」と支配人の菅剛史氏は振り返る。
サウナだけでなく外気浴が楽しめるスペースやレストランを備えているなど、原作の漫画でサウナの新しい楽しみ方として打ち出されている“ととのう(サウナの一連の動きでトランス状態になること)”ための環境の良さがロケ地に選ばれた決め手だったという。
「ロケ地協力は今のお客さんたちに迷惑がかかるかもしれないと悩みましたが、思い切って挑戦してみたことでいい循環が生まれていると強く感じます。今までの宣伝活動では生まれなかった接点がつくれました。新たなサウナの価値を発信しサウナ自体を盛り上げていくことが、直接の宣伝になっていなくても持続的なファンづくりには重要なのだと感じました」。
つながりから生まれる依頼
今、ニュース番組など様々な取材も受けている北欧。実は『サ道』ロケ地という理由だけではないという。「Twitterを通してドラマのプロデューサーをはじめ、興味を持ってくれたサウナファンの方、またサウナ界隈の有名人の方などと積極的にコミュニケーションするようにしました。するとサウナにまつわるイベントへの出演依頼が私に多数舞い込むようになりました。自分も外に露出していくことで、他のメディアの方にも目を留めていただきやすくなったと感じています」。
広聴からヒントを得る
テレビ露出から生まれたこれらのつながりから、プロモーションのヒントも得ていったという。「これまで男性限定の店でしたが、ドラマをきっかけに女性解放デーなども行い、女性の方の意見を聞く機会も増えました。より多くの声が集まるようになったことで、これまであまり拾えていなかったサウナファンの“声” が聞こえてきました。例えば、『水風呂の温度を3 度下げました』とツイートしたところ多くの反響をいただきました。『あ、こういう温度の情報が欲しかったのか』と改めてお客さんの気持ちを知れました」。
今まで伝える情報とお客さんが求める情報にズレがあったことに気づくことができたという菅支配人。「元々サウナに興味がある方だけでなく、これからは全く興味がない方にもリーチしていきたいです。バラエティー番組や情報番組などにも取り上げていただけるように、さらに発信を続けていきたいと思います」と今後の意気込みを語ってくれた。
『広報会議』5月号では、「テレビPR」を特集。本記事のほか、テレビリレーションズに役立つ情報、事例を多数掲載しています。詳細は下記をチェック!
『広報会議』2021年5月号
【特集】
オンライン取材で変わる
テレビPR
DATA
広報担当者にアンケート「テレビPRへの意識は今」
GUIDE
番組の視聴のされ方と制作側の視点を知ろう
メディアの現場から 特別編
『がっちりマンデー!!』/『Nスタ』/『Live News α』
『ゴゴスマ~GOGO!Smile!』/『フューチャーランナーズ~17の未来~』
『バトンタッチ SDGsはじめてます』
COLUMN
増えるオンライン取材
広報が守るべき10のルールとは
鎮目博道(映像プロデューサー)
地域メディアの現場から 特別編
『ゴジてれChu!』/『おにぎりあたためますか』
『今ちゃんの「実は・・・」』/『そ~だったのかンパニー』/『ぐっ!ジョブ』
CASE 出演常連!企業に聞く
①ブランテックインターナショナル
今知りたいテーマに関する技術
加えて「画になる」要素も
②mizuiro
厳しい日程で取材依頼が
それでも対応可能な理由とは
③アキダイ
年間約300件の番組に出演
テレビに好かれる、その秘訣
④メイカセブン
挑戦する異色のベーカリー
意外性がテレビ露出の鍵に
⑤ダイニチ工業
工場内や試験室も撮影OK
番組側の要望に応える
⑥ハウステンボス
海外のような景観が撮れる
番組合わせた映像提供も
広報担当者のための企画書のつくり方入門 特別編
テレビのディレクターに
「これは取材したい」と思わせる
企画書 22のコツ
片岡英彦
DATA
テレビ制作者が求める出来る広報の特徴とは?
GUIDE
テレビ露出の広報効果を最大限に高める方法
長沼史宏(アステリア)
美術・ロケ地協力をきっかけに
次なるメディア露出につなげていくには?
リグナ/サウナ&カプセルホテル北欧