重要だったのは“守り”をおろそかにしない戦い方
冒頭でも言いましたが、戦略を持たずに、ただガムシャラにアイデアを出し、試合に臨むのは危うい戦い方です。コンペを勝ち切るゲームプランが必要です。
とにかくコンペに勝って実績をつくることを最優先するなら、利益を度外視して予算額を超えるような企画内容を盛り込み、赤字覚悟の出血大サービスの提案をするのも戦略のひとつと言えます。
またイベントの内容自体では差がつけにくくても、ネームバリューのある関係者や協力会社と組んだり、協賛企業を引き入れたりして、企画を大きく見せる(拍を付ける)という戦法もあったかもしれません。
ただ、後になって、別の自治体系の案件を獲得することがあり、気付いたことがあります。それは、提案内容の実現性や実施体制、過去の実績といった部分が非常に重視されるということです。自治体系クライアントの特性と言えるかもしれませんね。
前出の採点表で見ると、⑥~⑧の項目で合計30点の配点があります。提案内容のイベントを実施する上で、本当に成功させる能力があるのか、あるいは問題が生じた時に対応できるのかなどを重要視するなら、過去実績や執行体制を厳しくチェックするでしょう。案外、この部分は参加会社間で差がつきやすいかもしれません。
配点上は企画内容にウエイトが置かれていても、各社の案に大きな差がなければ、結果的にネガティブチェックの部分で勝負がついてしまうことが起こりえるのです。
そこで、我々は企画書上でここにあまり力を入れて記載していなかったことが敗因だったのではないかと考えることができます。つまり、「不安材料を持ちたくないクライアント側が安心できる重厚な体制を組んで提案する」「スケジュールの実現性に説得力のある資料を出す」「過去実績を詳細に説明する資料をつける」といった“守り”部分で点数をきっちり取る戦略が必要だったのかもしれません。
こうしたネガティブチェックでの失点を防ぐことで、アイデア部分の得点が生きてくることもあります。ただ攻めることだけに注力し、守りをおろそかにすると、負ける法則にハマってしまいます。
漠然とアイデア勝負に出るのではなく、「どうやって選んでもらうか」というゲームプランも必要なのだと痛感した敗北でした。