「ブランドの本質」って本当に大事? セレブリティのゴシップとブランドの共通点

セレブリティもブランドも「本質的な価値」がすべてではない

フェルドウィック氏は自分も含めて「ブランド本質論者」の思考法が、「ブランドが価値を持っている」ことを前提としており、さらに「ブランドがいかに行動するか」よりも重要視されていると指摘します。それはセレブリティも同様で、「ベッカムがカッコよくてオシャレである」という価値が大事であり、それ自体が成功であり有名になることのルールのように語られています。

しかしながら、実際には“本質的な価値”として考えてみれば、ベッカムが世界一かっこよく、オシャレなわけではありません。またサッカー選手としても世界一優れているわけではなかったはずです。(もちろんそれがある程度以上の価値を持っていることは大事ですが)。

「カッコいい」「オシャレ」「サッカー選手」といった要素は、現実の世界ではコモディティでありふれた特徴のひとつでしかありません。ですからベッカムというセレブリティは、彼が持っていた「カッコいい」「オシャレ」「サッカー選手」という価値によって今の有名性を獲得したというより、ワールドカップ中に妻とサロンを着てディナーに行く、といった行動の積み重ねによって得られたといえます。

このコラムでもおなじみのバイロン・シャープ氏風に言うならば、「差別性はそれほど重要ではない」ということです。確かに、何かしら価値を持っていることは大事ですが、その価値つまりは特長が他者と比べて優れているかどうかは必ずしも重要ではないということです。

例えば、コカ・コーラは世界一有名なドリンクで最も強いブランドではありますが、世界一美味しい飲み物といえるわけではないからです(もしかするとブランド本質論者は、コカ・コーラの価値は飲み物ではなくて、リフレッシュすること、というかもしれませんが、リフレッシュの手段はコカ・コーラだけが唯一の方法でもないということです)。

次ページ 「ブランドもセレブリティも差別性より独自性」へ続く

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鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)
鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

鈴木健(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

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