【前回コラム】「戦略を持たずに戦ってコンペに敗北した話」はこちら
前回のコラムでは「戦略を持たずに戦うと負ける」という法則を紹介しました。
勝つためには、「自社の強みを活かす」ことは非常に有用な戦略のひとつと言えます。例えば初回コラムで紹介した事例では、我々は「売りの現場の知見がある」という強みを持っていて、クライアントもその強みを評価しており、非常に有利な戦いを展開できる状況でした。ところが、その強みを活かすゲームプランがバージョンアップされないまま、何度か繰り返されるうちにマンネリ化し、ついに競合他社に奪われるという結果につながったのでした。
サッカーなどスポーツにおいても、良い成績を残したチームが、同じメンバーで同じようなスタイルのプレーを維持し闘い続けても、翌年には思うように勝てなくなることがあります。ライバルチームから研究され、強みを潰されてしまうのです。
つまり、自社の強みを活かすことは勝ちパターンに持っていくための定石ではありますが、バージョンアップを怠り、使い方を誤ると「負ける法則」にハマる危険性があるのです。
弱みを見せると奪われる
今回は、とあるメーカーの販促広告の話です。我々が多くの広告を取り扱っている状況で、そのメーカー内では競合他社を抑えて高いシェアを誇っていました。特にメディアの扱い額が大きかったのですが、昨今の顧客の購買行動の変化に伴い、背後ではデジタル領域の重要性が高まっていました。
その販促広告において、我々は主にテレビCMを中心とした既存メディアで成果を納めていました。そこで、引き続きマスメディア中心の広告展開を提案し続けていました。一方、デジタル領域での取り組みに関しては出遅れた格好になっていました。
そこに競合他社がつけ込んできました。デジタル領域には専業の代理店が存在しますが、複数の競合社がデジタルに特化した提案をぶつけてきたのです。彼らは彼らで、自分たちの勝てるゲームプランで攻め込んでくるわけです。
我々としては、マスメディアを中心とした既存領域の売上を守るためにリソースを投入しがちになるため、その間にデジタル領域のシェアを奪われる結果となりました。クライアントも、既存領域は従来通り我々に任せようとしてくれていたのですが、変化の著しいデジタル領域に関しては、専業代理店を中心に他の会社の話も聞いてみようとなったわけです。
商品の販促ノウハウだけを見れば我々に一日の長があるのですが、ゲームのルールが変わりつつある状況の中で、ライバルたちは我々の弱みを見つけて攻めてくるのです。