消費者に共通の「常識」がなくなり、「ファクト」と「コンプライアンス」が現れた

今、マス・コミュニケーションに求められるのは「ファクト・フルネス」と「コンプライアンス」

今、「これが一番いいんだぜ」タイプのメッセージは、訴求力が低下していると思われますし、打ち出し方によっては「炎上」を引き起こしかねない。つまり、マスに向けては、大前提を省略する説得術は、今やハイリスク・ローリターンな打ち手になってしまっているのです。

では今、企業がマス・コミュニケーションを行おうとすると、何を重視すればよいのでしょうか。それが「ファクト・フルネス」と「コンプライアンス」なのです。すでに多くの企業がその重要性に気付いています。テレビのリサーチャーが、メディア以外の企業からも依頼を受けるようになってきたのは、その証左でしょう。

本コラムでは、テレビリサーチャーという仕事のなかで私が経験してきたことを事例として、「ファクト・フルネス」と「コンプライアンス」の重要性を再確認していきたいと思います。

「ファクト・フルネス」。その重要性は十分に認識されていたとしても、徹底するのは難しい。そのハウツーを“裏取りのプロ”から学びたい。©123RF

次回は、クイズ番組を事例に裏取りの手順や要所を紹介しながら、「ファクト・フルネス」の重要性を説明できればと考えています。どうぞお付き合いください。

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高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)
高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

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