*本記事は『別冊 販促コンペ 公式・企画ガイドブック』(宣伝会議)からの転載です。
*本稿は「第13回販促コンペ」の開催に際し、掲載した記事です。
【回答者】
米国広告主協会
データマーケティングアワード最終審査委員
西川コミュニケーションズ 顧問
藤枝 テッド 和己(ふじえだ・かずみ)氏
2000年代中盤からショッパーマーケティングの開発に従事し、北米のショッパー戦略デザイン会社、グローバルネットワークのリテールマーケティング会社の日本法人代表を歴任。2018年から現職。日本のみならず米国やシンガポールでのマーケティングカンファレンスで講演を行い、ANA(米国広告主協会)が主催するInternational ECHO AwardではAIや先端技術を活用したマーケティング活動の審査を手掛ける。
Q 購入者/消費者の「インサイト」がわかりません。
A インサイトを構成するのは3つの要素だと考えています。
これらを記述した文章が「インサイト」と言えます。①ターゲットの隠れた真実。表向きにはわからないことです。②ターゲットの行動に結びついていること。行動原理や行動パターンです。③ターゲットの反応を引き起こすこと。何によって反応が起きるのか。
表面的には人の目を気にして「言えない、見せない」ことが、明らかに行動原理になっていて、何かによってその原理が反応し、ターゲットを行動させているのです。インサイトを求めるのは簡単ではありませんが、データとにらめっこして明らかになった事実を、3つの要素で記述し、訂正し、繰り返し記述していくことで、完成された文章を作り上げます。その文章こそインサイトの記述です。
Q クライアント視点/顧客視点で企画を見るには?
A クライアントが何を考えているかは、よく話を聴くことでわかります。
ただし、聞くではなく「聴く」です。相手の言葉や行間にある事実や感情を積極的につかむ技術に「アクティブリスニング」があります。これを学ぶと、課題の本質やクライアント視線を得るのに役立ちます。顧客視点で企画を点検するときは、一人称で企画を考え、語ります。企画を立案している時や説明する時、多くの場合、立案者は第三者の立場になっています。消費者とクライアントがいて、自分は第三者。これではいつまでたっても当事者の目線は得られません。
Q 企画にリアリティを持たせるにはどうすればいいですか。
A リアリティの3要素は、予算、 品質、納期です。
この3点を徹底的に検証しましょう。このこの3要素が見合えば、企画はなんとか実現できます。つまり実施可能な状態にたどり着き、ほかの困難は、困難ではあれ知恵を絞れば解決可能になります。つまり企画にリアリティが担保されます。
Q 「ブランドらしさ」のある企画にするにはどうすればいいですか。
A 情緒・感情に与えるベネフィットとして整理することが重要です。
ブランドというものを「気分・雰囲気、単なる銘柄」ととらえているから、ブランド「らしさ」という発想が出てくるのだと思います。製品の機能的ベネフィットは研究所で設計され、工場で作ることができます。しかし、情緒的・感情的ベネフィットはそのように形作ることはできません。
ブランドとはその製品が持つ固有の、消費者に与える「心理的ベネフィット」と言い換えることができます。ブランドを機能ではなく情緒・感情に与えるベネフィットとして整理することが重要です。
Q いつもどこかで見たような企画になってしまいます。
A 良い企画とは「戦略性」が高く「目的」を達成する可能性が高いもの。
まず、「目新しさ」がある企画が、何より良い企画である、と誤認していませんか。企画とは、目的を達成するために策定された「戦略」に則って立案されるものです。
良い企画とは、「戦略性」が高く「目的」を達成する可能性が高いものです。戦略がしっかりしていて、戦略を十分理解して立案できれば、それなりの「演出(目新しさ)」と「本数」が立案できるはずです。アイデアありき、で企画作業に入ると、目新しさや本数に焦点が移ってしまうものです。
Q 企画書にまとめるのに時間がかかりすぎてしまいます。
A 「背景」「目的」「戦略」で常に検証を。
アイデアだけで企画を立て、企画書にまとめようとしていると企画書になりません。企画を必要とする「背景」、達成するべき「目的」、目的達成に至るための「戦略」という3点セットで、常にアイデアを検証していくことが大切です。
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