約20年にわたり4000本以上の映像を制作
右脳事件はこれまで約20年にわたり、4000本以上の映像制作を手がけてきた。現在の社員数は28人で、近年増えている映像専門の制作会社の中では歴史が長い。
代表の影山二郎さんによると、右脳事件という社名には創造力を司る“右脳”と社会に影響を与えるという意味合いの“事件”を組み合わせて、記憶に残るものづくりを実現したいという思いを込めている。「20年来、メディア環境は変化していますが、さまざまな種類の映像を制作できる点が強み。特に企画と演出には強いこだわりがあります。業界では珍しく、企画・コンセプトづくりから、演出、撮影、編集、CG制作、配信や効果測定まで映像制作に関わるすべてをワンストップで提供しています」。
プランナーの田中502さんは、同社の強みについて「ワンストップの制作体制だからこそ、限られた制作費や納期の中でも最大の効果を出す企画が可能です。“納品して終わり”ではなく配信までセットで提案できるので、公開後の反響を見てPDCAサイクルを回しながら次の一手を一緒に考えていくこともできます」と語る。
特にここ数年は初めて映像制作に取り組む企業からの依頼が増えている。プランナーの岡田洋坪さんによれば、プロモーション映像が中心ではあるものの、企業の姿勢を表明するブランデッドムービーのニーズも増えてきたと実感している。「商品そのものの差別化が難しくなった今、企業がどういう姿勢でユーザーと向き合い、どんなメッセージを打ち出すかが注目されるようになった」と感じる機会が増えたそうだ。
企画の過程や現場の経験も「価値」に
これまでのブランデッドムービーの制作事例としては、ルイファン・ジャパンの無線制御機能を持つペンライト「KING BLADE RAVE」の映像「Turning thoughts into light」などがある。フィクションの世界を描くのではなく、映像内で展開されるイベントの企画内容ごと設計したケースだ。
制作期間は約半年。コンサートなどで使用されるペンライト「KING BLADE RAVE」の価値やブランドの世界観を伝えようと、香川県さぬき市の野外音楽堂に約5000本のペンライトを観客に見立てて設置。ピアノの音楽に合わせて無線制御で点灯させ、無人のインスタレーションを実現した。
田中さんは企画の背景について、次のように説明する。「リアルでイベントを起こしてコンテンツに昇華させていく、という考え方から生まれた映像。映像の魅力は完成したアウトプットの内容だけでなく、企画を実現するまでの過程や制作現場で共有した経験も含めて価値になるという点。クライアントの皆さんと共感し合い、苦労を重ねる中で生まれた関係性があったからこそ形になった企画です」。
影山さんも「皆でペンライトを5000本も並べるのは大変でしたが(笑)、それでもひとつのチームとしてこの映像を完成させたいという意志が互いにあってこそ実現できたのだと思います。青臭い話かもしれませんが、映像を見る人はもちろん、クライアントの皆さんも含めて、僕ら制作スタッフのファンになってもらいたい。当社がビジョンに掲げている『Take FUN,Make FUN.』を実践すれば、結果としていいコンテンツが生まれる、というのをポリシーとして信じています」と続ける。
今後も既存の広告にはなかったような、新しい表現を取り入れたブランデッドムービーに挑戦していきたいという。「ブランドの思いをユーザーにただ届けておしまいではなく、ブランドが社会に自分たちの文化を育んでいけるようなクリエイティブをつくりたい。社会をより良くしよう、人類を前進させようという信念を持って商品やサービスを生み出しているお客さまの秘められた可能性に光を当てていきたいです」(岡田さん)。
田中さんも「ブランドの世界観を投影させる情緒的なストーリーと映像美で勝負するショートフィルムにもっと挑戦したい」という思いが強い。「自社ブランドに対して確固たるポリシーを持たれているお客さまの力になれたら」と考えている。
引き続き「まずは何らかの映像制作を始めてみたい」「効果測定をしながらPDCAを回して、最適な映像コンテンツを模索していきたい」と考える企業との仕事に取り組んでいく方針だ。「どんな企業も映像を活用しなければならない局面に入っている今。映像というツールを軸に、サービスや製品を成長させたい方々の良きパートナーになれれば」と影山さんは話している。
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