BtoB企業のマーケティング組織立ち上げ NRIセキュアはなぜ社内を巻き込めたのか?

月刊『宣伝会議』スピンアウト連載 「100万社のマーケティング」 
 
ITソリューションの導入によってマーケティング機能を社内に確立させる、新しいアプローチ方法をその実践事例を通じて紹介していく連載「100万社のマーケティング」。第1回は一人から始まったマーケティングの取り組みが、マーケティング専門部署の立ち上げに至るまで成長を遂げたNRIセキュアテクノロジーズの事例を紹介。
前回の「コンサル会社がWebサービスをローンチ 初めてマーケティングが必要になった時、経験なしの担当者はどう動いた?」に続き、今回は渡部惣氏ひとりの取り組みからスタートしたマーケティング活動が全社的な取り組みとなり、マーケティング専任部署の発足に至るまでのサクセスストーリーを紹介します。

NRIセキュアテクノロジーズ マーケティング・プロモーション部。左から部長の渡部惣氏、西はる菜氏(広報担当。マネージドセキュリティサービス事業本部と兼任)、田中大介氏(インサイドセールス担当)、吉岡浩仁氏(ソフトウェア業務管理部と兼務。SFAや所属本部のマーケティングを担当)、日下部美弥子氏(広報担当)、大野勝紀氏(プロモーション・Web担当)。

2020年4月にNRIグループでも初のマーケティング専任部署として設立されたNRIセキュアテクノロジーズのマーケティング・プロモーション部。Webマーケティング、広報、インサイドセールスという役割を担うマーケティング・プロモーション部のメンバーに、現状の業務と今後の構想について話を聞いた。

個別最適から標準化へ 共通の基盤が部門連携を深めた

——マーケティング・プロモーション部として活動して1年ということですが、現在の担当とそれ以前の経験についてお話しください。

田中:私は現在、インサイドセールス担当として潜在顧客のナーチャリングや案件化しそうな顧客を各事業部につなぐといった業務を担当していますが、この部に来る前はずっと営業でした。

吉岡:私はもともとエンジニアで、現在もソフトウェア業務管理部との兼務です。マーケティング・プロモーション部では所属本部のマーケティング活動の取りまとめとSFA管理を担当しています。NRIからグループ会社のNRIセキュアテクノロジーズに異動したのは10年ほど前ですが、新規事業の立ち上げや営業、システムコンサルティングなどをしてきました。

西:私も現在、マネージドセキュリティサービス事業本部というセキュリティ対策製品の24時間監視などを行っている部署との兼務。マーケティング・プロモーション部では広報としてニュース作成やSNS発信コンテンツ制作を担当しています。兼務をしていると、特に業務の効率化が重要になります。そのため、Webサイトづくりの知識が少ない私でもHubSpotのツールで手軽にニュースなどのコンテンツを更新できるのが助かっています。

——西さんから「ツールを使用しての効率化」のお話がありました。HubSpotを導入して、変化を感じることはありますか?

日下部:私も西と同様に広報を担当しているのですが、エンジニアの経験がなく、システムについて知識がなくても、ニュースページを簡単につくることができ、各コンテンツの反響もわかりやすく可視化されるようになったのでありがたいです。

大野:Web管理やプロモーションを担当する中で一番感じているのは、社内の事業部ごとの「個別最適」から「標準化」への変化です。以前は、各事業部ごとの要望に個別対応することに尽力していましたが、HubSpot導入により、標準化の流れが生まれています。複数の部門が、同じツールを利用するようになったことで、業務の分担や仕組み化、情報共有がしやすくなりました。それにより、複数事業部と連携が必要なWeb制作・分析やリード管理、営業管理などにおいて、全社的な仕組みがつくられつつあります。

西:コンテンツマーケティングの実践に際しては、他部門からのコンテンツ協力が欠かせません。その点、現在はPV数などの効果をすぐにフィードバックできるので、関係者のモチベーションも高まり、より質の高いコンテンツづくりにつながっている実感があります。

——社内で必要とされ、活動が認められたからこそマーケティング専任の部署が設立したのだと思いますが、どのようにして他部署との関係を築いていったのですか。

大野:これは渡部が率先して行ってきたことですが、執筆者へのフィードバックを徹底的に実施するよう意識しています。現場の社員は、日頃から様々な形で情報発信活動に協力してくれることも多いのですが、HubSpot導入前はなかなか反響などの結果がわからなかった。記事によるPV数や問い合わせ件数といったファクトを示し、特に反響のよかったものは表彰するなどで盛り上げてきました。

日下部:緻密なフィードバックがモチベーションにつながっているのは見ていて感じますね。

全社に仕組みを広げ 会社の利益に、より貢献したい

——マーケティング・プロモーション部の今後の展望は?

吉岡:マーケティングから営業につなげるプロセスをより強固なものにしたいと考えています。マーケティング・プロモーション部で取得し、分析・可視化した顧客に関する情報を、効率よく営業につなげられるよう仕組み化をしていきたいですね。

田中:吉岡の話にも関連するのですが、インサイドセールスの面では既存顧客のナーチャリングが課題だと考えています。現在、ひとつのサービスを契約してくださっているお客さまに対して他のサービスの提案が十分にはできていないため、プラットフォームに顧客情報を蓄積し、それを全営業が共有することで、提案の幅を広げ、既存顧客にも新たな価値を提供できればと思います。

大野:HubSpotを全社共通のプラットフォームとして今以上に浸透させ、標準化させることができれば、皆の業務が効率化して会社全体の生産性を上げることができると思っています。なので、もっとHubSpotを皆が活用できるようにしていきたいですね。新機能も、積極的に取り入れていきたいです。

西:私はデータ分析を担当しているので、より手間をかけずに有用な分析ができるような設計を構築したいですね。

日下部:広報に関しては、マーケティングに寄与するだけでなく、より多くの方に会社のことを知っていただけるような発信もしていきたいと考えています。NRIセキュアはセキュリティベンダーとして日本でトップクラスの規模。しかし、この事実はあまり知られていません。ですからオウンドメディアでの発信はもちろん、メディアミックスも取り入れながら、会社の認知向上につながる発信も強めていこうと検討を進めています。

田中:マーケティング・プロモーション部は、チームとしてのマーケティング活動歴は浅くとも、各分野で習熟度が高いメンバーが多いです。これからも互いを尊重しながら高めあうことで、個人としてもチームとしても成長していければと思います。

なぜNRIセキュアテクノロジーズはたった一人で始めた挑戦が、社内を巻き込むマーケティング組織の立ち上げに至ったのか。その成功の背後にある、HubSpotのサポートについては「顧客から価値を受け取る前にまずは売り手が価値を提供 HubSpot流『インバウンド』の思想とは?」をご覧ください。



お問い合わせ
HubSpot Japan 株式会社

TEL:03-6863-5389
URL:https://www.hubspot.jp/

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