グローバルでのキャンペーン事例も多数
スピード重視の少数精鋭チーム
ブランドの成長に関わる、あらゆるアウトプットを提供する「トータルブランドデザイン」を企業ドメインに掲げるKOORI。代表/クリエイティブディレクターの郡正志さんは、外資系広告会社でクリエイティブディレクターとして経験を重ね、2011年4月にKOORIを立ち上げた。現在も外資系のクライアントが多く、グローバルでのブランディングを得意としている。
現在のメンバーは6人。「自分たちで言うのもなんですが、少数精鋭の体制です」と、郡さん。理由は広告会社勤務時に感じたジレンマにある。「大きな案件だとどうしてもチームが大きくなりすぎて、情報の共有と伝達に時間がかかり、鮮度の高い提案ができないことに矛盾を感じていました。そのためKOORIはミニマムなチームでクライアントの求める成果を出すことに重きを置いています」。
取材時は、フィリップス・チャイナが中国全土でローンチ予定の新プロダクトのクリエイティブ制作の真っ最中。コロナ禍かつ海外のキャンペーンであっても、オンラインで密にコミュニケーションを取ることで、スピード感を保っていた。「自分たちの強みを活かして、決裁者とできるだけ近い距離感でコミュニケーションをするようにしています。クライアントからは、『こういう制作チーム体制だからこそチャレンジングなことが実現できる』と評価いただいています」。
コンパクトで合理的な座組みを求める多くのクライアントにとって、少数精鋭でスピーディーに動けるKOORIの存在は魅力的だ。事実、プロジェクトの約90%は大手クライアントから直接依頼を受けたものだという。
ブランドの存在意義を考え抜く
スピードだけでなく、もちろんクリエイティブのクオリティにも自信を持つ。「どんなブランドも、認知されなければ存在し得ないのと同じ。ブランドの存在意義をとことん考え抜き、その意義を知ってもらう手段として、人の心に残るクリエイティブをつくることを心がけています」と郡さん。ブランドや製品のコンセプトを決め、ビッグアイデアを立案するのは基本的に郡さんだ。最終的なアウトプットを踏まえた、ブレのない戦略的なクリエイティブが強みだという。
2016年に手がけた、ムンディファーマ「イソジン」のティザーキャンペーンでは、ユニークなPRが話題を呼んだ。「使えるのは『イソジン』というブランド名だけというチャレンジングなプロジェクトで。とにかくその名を生活者の心に残すことをコンセプトに生まれたのが『君、なに人?』というコピーでした。
この問いを全国の交通広告などで大々的に投げかけながら、同時に新宿東宝ビル(東京・歌舞伎町)のテラスに設置されている原寸大のゴジラにイソジンを持たせるというプロジェクトを展開しました」。結果、メジャーなニュースサイトで取り上げられ大きな話題となり、インターナルでの盛り上がりはもちろん、ブランド名を生活者の心に残すというコンセプトの達成に至ったという。
今年で10周年、「クライアントのチャレンジが僕らの挑戦」
今年4月、KOORIは設立10周年を迎えた。東日本大震災をはじめとする自然災害や新型コロナウイルス感染症の拡大など、決して穏やかとはいえない状況下での10年だった。
「このような状況では、クリエイティブの仕事がなくなってしまうのではないか、と不安になった時期もありました。しかしクリエイティブのニーズは、逆にどんどん増えているのを実感しています。それは社会が暗かろうが、どんなときもチャレンジを続けるクライアントがいるから。クライアントのチャレンジなくして我々は存在しない。それを再確認したことで、10周年の節目は自分たちではなく、クライアントのチャレンジをお祝いしたいと考えました」。
その言葉通り、KOORIの10周年を記念して、クライアントによる数々のチャレンジをまとめた冊子を制作。さらに「KOORI」の文字をかたどった氷ができるオリジナルアイストレーも制作して寄贈した。「氷でKOORIをつくる」というダジャレだけでなく、KOORIはみんなにつくられることで存在していることを表現したかったという。記念冊子の挨拶は、「決して溶けることのない情熱を持って挑む、私たちです」という言葉で締められている。
「次の10年も、チャレンジ精神豊かなクライアントの挑戦にデザインやクリエイティブを通じて伴走しながら、双方向で喜び合える仕事をしていきたいと思っています」。
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