※月刊『宣伝会議』7月号(6月1日発売)では「「ネット広告の体験品質」課題と対策」と題し特集を組みました。ここでは、本誌に掲載した記事の一部を公開します。
データはリアルタイムで可視化 問題発生後は迅速に対処する
デジタル広告の諸問題の理解は日本でも高まっている。ブランドにとって不適切なページに広告が表示されていないか(ブランドセーフティ)、人ではなく機械が不正な閲覧をしていないか(アドフラウド)、実際にユーザーに閲覧された比率(ビューアビリティ)という指標で広告効果を検証し、配信を適切にコントロールするアドベリフィケーション(以下、アドベリ)に注目が集まっている。
DoubleVerify(以下DV)は、2008年に創業したアドベリベンダー。名だたるグローバルブランドのデジタルメディア戦略に携わってきた。昨年5月に日本進出し、最高責任者に就任したのが外資系広告会社やIT企業で要職を歴任した武田隆氏だ。
「DVでは、ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティの問題に対するソリューションに加え、ターゲットしたエリアのユーザーに配信できているかまでモニターするジオターゲティングを加えた、4つの指標を総合的に測定・評価する統合指標『DVオーセンティック・アド™』を提供しています【図表1】。
図表1 「DVオーセンティック・アド™」4つの指標
これは米国でメディア調査会社の認定審査を行うMRC(Media Rating Council)から認定を受けている統合指標です。また、100%自社でデータオペレーションを行っているのも当社の強み。これにより、すべての指標データはリアルタイムで可視化されるため、問題が発生すれば迅速な対処が可能です」(武田氏)。
自社独自のテクノロジーで、より高精度な制御を可能に
デジタル広告業界では昨今、ユーザーのプライバシー保護を重視し、個人情報の使用についてユーザーの意思を重視する流れにある。個人の検索履歴データをもとにしたオーディエンスベースのターゲティング戦略に代わり、コンテンツの文脈に沿ったキーワードでターゲティングを行うコンテクスト・ターゲティングが重要性を増すとみられている。
DVでは、クッキー利用の是非論が活発化する前からコンテクスチャルソリューションの開発に注力してきた。また時流に応じてアドベリの役割を進化させ続けている。「不適切なサイトをブロックすることだけが目的になると、広告出稿量は激減してしまいます。必要なプロテクションと望ましいリーチの規模を、バランスを見ながら確保する、ブランドスータビリティ(適合性)が求められているのです」。
DVオーセンティック・アド™では89ものコンテンツ回避カテゴリーを設け、ドメイン単位だけでなくページ、コンテンツ単位で細かく制御している。そのなかで、適切な出稿場所を検知するリスクカテゴリーをさらに3段階に分けて設定した。「ローリスクは啓蒙・教育系コンテンツ、ミディアムリスクはニュースサイト、ハイリスクはユーザー作成コンテンツというように、高精度な検知が可能です。
また、ブランドによって多様なリスクや許容度の違いにもフレキシブルに対応しています。こうして誤検知率を極限まで下げるとともに、常に評価指標の精度向上を図っています。そのためには、精緻な制御を可能にする自社のテクノロジーが不可欠なのです」。
日本におけるアドベリへの理解 管理職にこそ浸透を加速させたい
ここ数年で認知が進んだとはいえ、海外に比べて日本でのアドベリの実施率やブランドセーフティへの意識はまだ決して高くはないと、武田氏。「日本の広告業界ではテレビCMという安全なメディアが長らく主流で、デジタル広告のリスクや脆弱性への対策が後回しになってきたことが一因でしょう。しかし、デジタル広告市場が拡大し、世界広告主連盟が2018年にデジタル広告の課題解決に向けた宣言を発表したことで、広告主や媒体社も、アドベリに真剣に取り組む必要に迫られています」。
とはいえ、アドベリは“リスクを避けるための保険”という側面が強調されがちだ。だが、武田氏によるとアドベリの本来の目的は、マーケティングの費用対効果を最大化させるためのものだという。「当社の指標はメディア戦略のKPI管理および精度アップに有効です。ROIを踏まえた戦略策定を担う管理職の方にこそ、そのことをお伝えしたいです」
トップランナーとしての展望 業界全体の成長の一翼に
2021年2月、DVは「DVオーセンティック・アテンション™」をローンチした【図表2】。
図表2 「DVオーセンティック・アテンション™」
DVオーセンティック・アド™の総合指標に、露出と接触という2つの指標を加えることで、広告のパフォーマンス測定までもが可能となっている。露出は視認時間、動画表示、音声の有無などによる広告の強度や印象度を測り、接触はユーザーによるタッチ操作を分析する。「最も高いパフォーマンスを示すサイトやアプリのベンチマーク測定が、リアルタイムで行えます。
例えば『ミュート再生が多いから字幕を追加する』というように、キャンペーンの実施中にユーザー反応を反映したクリエイティブの修正も可能です」。
こうした機能をマーケティングや広告クリエイティブの上流工程にも積極的に活用してほしいと、武田氏は意気込む。「私たちは、より大きな課題解決のための戦略パートナーとして貢献したいという思いがあります。ぜひ、課題の共有から気軽にご相談いただけたらと思います」。
今後の展望を武田氏は、トップランナーとして業界全体の成長と透明性向上の一翼を担いたい、と話した。
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DoubleVerify Japan
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