経済産業省は6月7日、東京証券取引所と共同で、デジタル技術を活用し事業や組織、業務を変革し、新たな成長や競争力強化につなげている企業「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」企業28社を発表。グランプリに日立製作所と、不動産事業やAI(人工知能)などを手掛けるSREホールディングス(ソニーグループ)の2社が選ばれた。
DX銘柄は、上場企業を対象に実施した「デジタルトランスフォーメーション調査2021」をもとに決定。企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を、業種ごとに最大1~2社ずつ選定した。2015年から毎年発表しており、今回で7回目。今回回答があった企業464社のうち、「DX認定」に申請している企業を選定対象とした。
選定された企業は、単に優れたシステムの導入、データの利活用をするにとどまらず、ビジネスモデルそのものの変革、経営の変革に果敢にチャレンジし続けている企業。優良な取り組みを紹介することで日本企業のDX推進を後押ししたい狙いがある。
グランプリに選ばれた日立製作所は、過去4回の選定実績がある。「DXが変革のエンジンになっている数少ない会社にひとつ」「DX人材を類型化し、人材像ごとに育成・確保を計画している。部署の壁を越えて発想・協力する風土づくりを進めている」「実現能力の主要要素に網羅的に対応している。経営ビジョンにおけるDXの位置づけも明快。DXの“サプライヤー”として他業種・他企業より先行している」と審査員から評価を得た。
SREホールディングスに関しては、「AIなどのデジタル技術を積極的に活用し、“脱不動産”への布石として多角化ビジネスをDXによって推進する姿勢を評価したい」と講評。ソニーグループの企業として「今は先鋭であっても”10年後の当たり前”となるソリューションの創造」をミッションに掲げたDXの推進で評価を得た。
選出企業は下記の通り。
●DX銘柄2021
・グランプリ(2社)
日立製作所(電気機器)
SREホールディングス(不動産業)
・選定企業(26社)
清水建設(建設業)
アサヒグループホールディングス(食料品)
旭化成(化学)
中外製薬(医薬品)
出光興産(石油・石炭製品)
ブリヂストン(ゴム製品)
JFEホールディングス(鉄鋼)
小松製作所(機械)
日本電気(電気機器)
ヤマハ発動機(輸送用機器)
トプコン(精密機器)
凸版印刷(その他製品)
東日本旅客鉄道(陸運業)
SGホールディングス(陸運業)
日本郵船(海運業)
日本航空(空運業)
ソフトバンク(情報・通信業)
トラスコ中山(卸売業)
セブン&アイ・ホールディングス(小売業)
日本瓦斯(小売業)
りそなホールディングス(銀行業)
東海東京フィナンシャル・ホールディングス(証券、商品先物取引業)
MS&ADインシュランスグループホールディングス(保険業)
東京センチュリー(その他金融業)
GA technologies(不動産業)
ベネッセホールディングス(サービス業)
コロナ禍でのDX、ヤマト、資生堂、大和証券ら選出
加えて2021年度は、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応に関して、デジタル技術を利活用し、優れた取り組みを実施した企業を「デジタル×コロナ対策企業」として11社選定した。
製造・物流戦略部門
ヤマトホールディングス(陸運業)
アスクル(小売業)
カスタマーケア部門
資生堂(化学)
コニカミノルタ(電気機器)
東急不動産ホールディングス(不動産業)
業務効率化部門
大和証券グループ本社(証券、商品先物取引業)
東京海上ホールディングス(保険業)
レジリエンス部門
サントリー食品インターナショナル(食料品)
日本電気(電気機器)
アステリア(情報・通信業)
三井不動産(不動産業)