複数のソースにあたり、確かな情報を届けることは「三方よし」
その2は「複数ソース主義」。これは、1カ所のニュース・ソースに頼るのではなく、同じことが他の媒体にも載っているか、さらにはどう扱われているのかを確認するということです。
たとえ一時的にフェイクニュースを信じたとしても、複数ソース主義を貫いていれば、「このニュース、何かおかしい」と気づくことができます。
また、インタビューなど、自分が取材する場面でも、複数ソース主義の姿勢は必要です。「うちの広報誌は同業者へのインタビューがメインだから、出典も複数ソースも関係ないな」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、今や広報誌はリクルーティング等の観点から、社外にも公開するケースが増えています。そうなってくると、業界関係者だけが読むとは限りません。一般の読者の誤解を招かないよう、自分の取材内容に対して、裏取りする必要があるのです。
その専門分野の権威に聞いたことなのだからと、話してもらった内容を無批判にまとめるのではなく、「〇〇先生は××と言っていたけれど、××以外に方法はないのか?」というように、疑義をあえて想起して、複数ソースで確認しましょう。「取材に協力してくれた〇〇先生の話を疑うのは失礼なのでは」といった感情は、トラブルを招く思い違いです。この裏取りは、〇〇先生の話を疑うのではなく、自分の理解を疑い、受け手(読者・視聴者)の理解に配慮するための作業(ネガティブチェック)なのです。
取材した内容を正確に記録(記述・録画)したものを発信したとしても、受け手(読者・視聴者)にそのまま正確に伝わるとは限りません。受け手のなかには、立場の違いなどから、〇〇先生が思いもよらない誤解をする人もいるかもしれません。次の「アフターイメージ」につながることですが、その情報が世に発信されたとき、どのような受けとめられ方をするか、イメージを膨らませてチェックをすることは、取材協力者の立場を守るためにも必要なことと心得ましょう。