コンプライアンスに役立てよう!「情報を扱うプロの3原則」

複数のソースにあたり、確かな情報を届けることは「三方よし」

その2は「複数ソース主義」。これは、1カ所のニュース・ソースに頼るのではなく、同じことが他の媒体にも載っているか、さらにはどう扱われているのかを確認するということです。

たとえ一時的にフェイクニュースを信じたとしても、複数ソース主義を貫いていれば、「このニュース、何かおかしい」と気づくことができます。

また、インタビューなど、自分が取材する場面でも、複数ソース主義の姿勢は必要です。「うちの広報誌は同業者へのインタビューがメインだから、出典も複数ソースも関係ないな」と思ってしまう方もいるかもしれませんが、今や広報誌はリクルーティング等の観点から、社外にも公開するケースが増えています。そうなってくると、業界関係者だけが読むとは限りません。一般の読者の誤解を招かないよう、自分の取材内容に対して、裏取りする必要があるのです。

その専門分野の権威に聞いたことなのだからと、話してもらった内容を無批判にまとめるのではなく、「〇〇先生は××と言っていたけれど、××以外に方法はないのか?」というように、疑義をあえて想起して、複数ソースで確認しましょう。「取材に協力してくれた〇〇先生の話を疑うのは失礼なのでは」といった感情は、トラブルを招く思い違いです。この裏取りは、〇〇先生の話を疑うのではなく、自分の理解を疑い、受け手(読者・視聴者)の理解に配慮するための作業(ネガティブチェック)なのです。

取材した内容を正確に記録(記述・録画)したものを発信したとしても、受け手(読者・視聴者)にそのまま正確に伝わるとは限りません。受け手のなかには、立場の違いなどから、〇〇先生が思いもよらない誤解をする人もいるかもしれません。次の「アフターイメージ」につながることですが、その情報が世に発信されたとき、どのような受けとめられ方をするか、イメージを膨らませてチェックをすることは、取材協力者の立場を守るためにも必要なことと心得ましょう。

次ページ 「アフターイメージの充実が、炎上回避の有効策」へ続く

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高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)
高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

高橋直子(テレビリサーチャー/明治学院大学国際学部付属研究所 研究員)

1972年、秋田県生まれ。國學院大學文学部を卒業後、1998年からテレビリサーチャーとして、テレビ番組制作に関わる。また、2007年から同大大学院文学研究科でメディアと宗教をテーマに研究し、博士課程後期修了。博士(宗教学)。近著に『オカルト番組はなぜ消えたのか 超能力からスピリチュアルまでのメディア分析』(青弓社)、『テレビリサーチャーという仕事』(同)。共著に『バラエティ化する宗教』(同)、『神道はどこへいくか』(ぺりかん社)など。

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