アドテク企業に求められる、急速な技術革新に対する啓蒙活動
アドテクノロジーが急速に発達した昨今。運用する側の実務経験や法整備が追いつかず、その内部がブラックボックス化している現状があります。
特に透明性に関しては、広告配信システムが複雑なことからも広告主側での把握が難しくなっています。
このときに、広告主だけではなく広告会社、配信ネットワーク、サービスを提供するベンダーのそれぞれがチェック・認証を行なって、透明性を確保していく必要があるでしょう。
また、プライバシー保護のもとにデータ流通が制約され、一部事業者による寡占化も問題視されています。
公平性が失われるなかで、日本企業が二番手、三番手に追いやられてしまい、今テクノロジーの発展そのものにブレーキがかかっている状況です。
内閣官房デジタル市場競争本部により4月27日に最終報告がなされた「デジタル広告市場の競争評価」においても、前述したデータの「透明性」、そして特定プラットフォームによる「寡占化」は、解決すべき課題として挙げられていました。デジタル庁の創設に向けた動きなどもありますが、日本も、ようやく欧米を追う形で法整備が進んでいくのではないかと感じています。
また生活者の立場で大きな問題と感じられるのは、「誇大広告」ではないでしょうか。特に健康食品や化粧品などのジャンルで多くみられますが、度を越えた表現は、商品だけではなく、それが配信されているメディアに対してもマイナスの感情を抱いてしまいます。クリック目的だけではない。その先の面白いコンテンツを提供して、見てもらう、読んでもらうということも必要だと考えます。
これらを改善していくために重要なのは、広告配信に携わる担当者、そして企業の上層部である経営陣も含めて、正しい知識をもって、デジタル広告に対する意識を変えていくことです。
しかし、広告配信に携わる担当者の目標は、どれだけの広告予算を消化し、サイトへの流入を増やすか、あるいは成果地点へ到達する数を増やすかといった項目に設定されがちです。アドベリフィケーションという概念は浸透してきたものの、広告品質に関する目標を設定している企業はごくわずか。目先の数値のみにとらわれず、望ましいKPIを設計できるかどうか。そもそも、企業全体の課題として、アドエクスペリエンスの質の低下に危機感を持てるかどうか。組織の在り方も含めた、変革が必要なのではないでしょうか。
私たちもソリューションの提供だけではなく、導入事例などを発信しながら、状況改善に向けた啓蒙活動に力を入れていきたいと考えています。
Spider Labs
PR
橋本咲彩氏