こんにちは、電通zeroのクリエーティブディレクターの嶋野です。
勉強がてら、「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」の全体傾向のレポートを毎年書いております。
ブロンズ以上をほぼ全部見るので毎年かなり時間がかかるのですが、今年のカンヌはかなり「見やすい」年でした(ありがたい!)
その理由は、
●エントリー数の減少。
2020年〜2021年の2年分の合算にも関わらず、2019年に比べて6%ダウンの2万9074件へ。
●世界共通イシューの存在。
「新型コロナウイルス感染症」という世界中が同時に取り組んだイシューがあったため、「課題」→「ソリューション」がシンプルに。それゆえ、選りすぐられた最強キャンペーンだけが複数部門で受賞しまくる結果となりました。
「新型“ゲーム”コミュニケーションの到来」
2020-2021年の受賞作の目立った傾向としては、
(1)台湾勢の活躍(エンタメ・デザインなど)
(2)新たな社会課題を提起する南ア
(3)デジタル時代のシェア媒体としてのアウトドア部門の復権
(4)「タブー・イシュー」の多様化(#WOMBSTORIESの4冠、高齢者の性など)
(5)Twitterでの一言合戦
(6)健全なディープフェイク
などが挙げられます(それぞれでもコラムを書けるぐらい、興味深いものばかりでした)。
ただ、今年一番の驚きは、
(7)新型“ゲーム・コミュニケーション”の到来
です。
去年まではまだ「こういうのって目立つからいいよね」程度の見方だったのですが、今年はゲームが、もうTwitterやInstagramのように普通にプラットフォームとして機能していて、しかもその方法が面白い。受賞作全体に占める割合はまだ1%程度ですが、これからもっと伸びる勢いを感じました。
例えば、Twitterっていまはもうどの会社も当然のように使いますよね? でも、Twitterが世の中で「コミュニケーションのプラットフォームに活用できるもの」として企業が着目しはじめたのって、2010年にベストバイの「Retailer」がチタニウム(Titanium)部門のグランプリを獲ってからだと思います。そのときに感じた「これからはこういう時代が来るんだな」という感覚と近いです。