次世代のクリエイターが育つ場所に
浅井雅也
Droga5 Tokyo チーフクリエイティブオフィサー。北海道生まれ。高校時代より留学のため渡米。サンフランシスコにあるAcademy of Art University広告学部にてアートディレクションを専攻し、同校大学院にて修士課程修了。2007年に日本人初のアジアベストクリエイターに選出。以後、東京とLAを拠点に活動し2017年に博報堂最年少グローバルクリエイティブディレクターに就任。2021年よりDroga5 Tokyo 設立メンバーとして参画。
クリス・バージェス
Droga5 Tokyo ジェネラルマネジャー。2016年夏のDroga5参画以前は、J.Walter Thompson NewYorkでRolexやPumaのグローバル事業を運営。Droga5では、クレジットカードのChase、Sprint、最近ではAllstateなどを手がける。プロボノ活動においても、10代の若者の自殺防止や銃の安全管理といった案件で中心的役割を担う。有能で意欲の高いチームを築いてきた経験とグローバルな深い知見をDroga5 Tokyoにおいても存分に活かす。
ダン・イング
Droga5 Tokyo ストラテジーリード。ロンドンとニューヨークのトップエージェンシーでストラテジーリードを務め、世界有数のブランド構築を手がける。2016年にDroga5参画。Droga5 New Yorkでは、Chase、Sprint、MailChimp、Allstate、Facebookのストラテジーを手がけた。これまでに、IPA Effectiveness Awards、Effie Awards、カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(グランプリやAdvertiser of theYear含む)など数多くの受賞作品に携わっている。
デビッド・ドロガ
Droga5 創業者/クリエイティブチェアマン。Droga5設立前は、Publicis Networkのワールドワイドチーフクリエイティブオフィサー、Saatchi&SaatchiLondonのECD、Saatchi&Saatchi Asia のリージョナルクリエイティブディレクター、OMON Sydneyのパートナー/ECDなどを歴任。2017年、Adweek誌による「マーケティング、メディア、テクノロジー分野で最も影響力のあるリーダートップ100人」に3年連続で選出された。
Agency of the year(Campaign誌)に25回以上選出されるなど、グローバルで影響力のあるクリエイティブエージェンシー、Droga5(ドロガ ファイブ)。2006年にNYで設立され、2013年にはロンドンオフィスを開設した。2019年にアクセンチュアインタラクティブの傘下となり、国籍や性別も多様な600人超が在籍する。
同社では4つのDNAとして「CreativelyLed(クリエイティビティ)」「Strategically Driven(ストラテジー)」「Systems Thinkers(システム思考)」「Humanity Obsessed(人々のために)」を掲げており、クリエイティブはもちろん、ストラテジーやデータ分析などに長けた人材も豊富だ。
そして2021年、世界で3つ目の拠点として東京オフィスが始動した。チーフクリエイティブオフィサー(CCO)には元TBWA\HAKUHODOの浅井雅也さんが就任し、NYからはジェネラルマネジャーとしてクリス・バージェスさん、ストラテジーリードにはダン・イングさんが着任した。
さらに日本人のスタッフも順次入社し、シニアクリエイティブディレクター、コピーライター、アカウントディレクター、ストラテジーディレクターらが仲間に加わった。引き続き、ともに日本のブランドを世界へ発信し、クリエイティブの領域の拡張にチャレンジしていく人材を募集している。
「クラフトを突き詰める仕事で満足するのではなく、ビジネスデザインまで造詣の深いクリエイターが揃っています。ぜひトップクリエイターとともにビジネスの上流にも挑戦し、クリエイティブ業界にとっての新しいベンチマークになれたら。5月19日に東京オフィスのローンチを発表した直後には、LinkedInやInstagramを通じて国内外の多数のクリエイターからポートフォリオが届くなど予想以上の反響に驚きました。日本のクリエイターはもちろん、海外のクリエイターが日本で挑戦する際の受け皿にもなれば」と浅井さん。
自身も30代で、東京オフィスのスタッフは20代後半~30代の若手で構成される。「目指すは次世代のクリエイターが育つ場所。インターンプログラムを今夏に実施するほか、新卒採用にも力を入れていきたい」と話す。
さらにNYやロンドンの拠点と同様、国籍や性別のダイバーシティを重視した組織を志向している。東京オフィスも男女比率が半々の状態が理想だ。ちなみにDroga5の名刺には「he/his/him」「she/her/her」といったように、自らが相手に“認識してもらいたい”性別を自由に記すことができる。こうした取り組みからも、ジェンダーの多様性に寛容な組織であることがわかる。
ビジネスの全領域にクリエイティブを
Droga5がビジョンとして大切にしているのが、「全てのブランド体験をつなぐクリエイティビティ」だ。「これからの社会やブランドに大きくインパクトを与え、変革をもたらすのはクリエイティブの力だと信じています。クリエイティビティによって、日本や世界のブランドを人々にとってより意味があり、価値のあるものにしていけたら」と浅井さんは説明する。
これらを達成するために2つのステップがあるといい、ひとつが「ブランドパーパスの定義」。もうひとつが、「ブランドパーパスを軸にした、一貫性のあるアクションを起こし続けること」だ。「まずブランドが存在する理由を定義し、世の中にどんな価値を提供できるかを言語化していきます。
その際、社会にとって何が求められているかを考えることがポイント。主語をブランドにせず、“人や社会のため”と置き換えて考えることが必要です」(浅井さん)。その上で言動と行動を一致させ、コミュニケーションのメッセージから従業員の行動まで一貫性を持たせることが必要だと指摘する。
Droga5の仕事は広告、マーケティングの領域に留まらない。アクセンチュアが持つテクノロジーやコンサルティングのケイパビリティとDroga5のクリエイティビティを融合させ、イノベーティブな事業やサービスのデザイン、体験の創造に取り組む(図1)。
「ビジネスの上流から下流まで、あらゆるフェーズにクリエイティブを掛け合わせることができるのがDroga5です。経営者層に直接アプローチして、広告だけではなくブランド全体の変革にクリエイターが入っていけるのは僕らだけ。顧客体験を起点とした企業変革を支援するアクセンチュア インタラクティブと緊密に連携しながら、今までにない全く新しい価値を提供するクリエイティブエージェンシーとして地位を確立していきたい」と胸を張る。
これらをベースに、東京オフィスでは日本のブランドをさらに世界へ発信していくためのサポートに力を入れる。「日本には世界に誇れる素晴らしいブランドがたくさんある。ものづくりの品質やサービスの水準が高く、世界にもっと評価されるべきだと考えています」(浅井さん)。しかしまだパーパスが明確でないブランドや、パーパスが明確になっているものの一貫性のあるアクションがとれていないブランドが数多く存在していると感じていたという。
クライアントとなる企業の規模は問わない。浅井さん自身、アップルなどの名だたるグローバルブランドの仕事を多数経験してきたが、近年は中小企業やベンチャー企業の経営者からも相談を受ける機会が増えた。その中でも、クリエイティブへの期待値が高まっていることを強く実感している。こうしてクリエイターの仕事の領域を拡張し、その価値を高めることも東京オフィスで成し遂げたいことのひとつだ。
カメレオンのように変幻自在な提案力
Droga5が提供するクリエイティブの強みとして、浅井さんは「業界を問わず、企業の課題に対してカメレオンのように変幻自在に提案ができること」を挙げる。たとえば近年の同社の代表的な仕事として、アメリカでパンケーキなどの朝食を提供するレストランIHOP(アイホップ)やThe NewYork Times(ニューヨーク・タイムズ)が挙げられるが、それぞれのクリエイティブは全く異なるテイストだ。
IHOPは「ファストカジュアルレストランの常識をひっくり返す」というブランドパーパスのもと、ハンバーガーのキャンペーンで店名を「IHOb」に変更すると宣言したり、ピザサイズのパンケーキを提供したりと、ユニークな仕掛けで話題を集めている。時代遅れとなっていたブランドに対する期待を“ひっくり返し”、統一されたブランドエクスペリエンスを提供することで外食業界全体がマイナス成長となるなか2年連続の成長を達成した。
一方、The New York Timesでは2017年にキャンペーン「The Truth Is Hard」を企画。「真実を追求する」をブランドパーパスとし、米大統領選挙とフェイクニュースの問題に向き合い、シリアスなメッセージを打ち出した。独立したジャーナリズムが攻撃を受けていた時に、The New YorkTimesの報道の価値を強調するプラットフォームをデザインし世論の評価を高めた。
さらに2018年にはキャンペーンの一環でオンライン動画シリーズ「The Truth IsWorth It」を展開。2019年のカンヌライオンズでフィルム部門、フィルムクラフト部門のグランプリを獲得した。5本のムービーではロヒンギャに対するミャンマー政府の対応やイラクでのISの支配などを地道に追いかける記者たちの姿勢を追い、真実を追求することの重要性を伝えている。一連の取り組みを通じて、成長の鈍化が続いていたトラディショナルメディアにおいて、デジタル版の有料定期購読数の倍増へと導いた。
フィルムの名作多数、時には社員教育も
このほかDroga5の象徴的な仕事として、浅井さんはUnder Armourを挙げる。最もシェアされたオリンピックCMのひとつ「Rule Yourself」では、マイケル・フェルプス選手を起用。5回目のオリンピック出場となるリオ大会に向けた、選手の人知れぬ献身、犠牲、努力、そして孤独を明らかにした。2016年のカンヌライオンズではフィルムクラフト部門グランプリを獲得している。
また、女性のための象徴的なキャンペーン「I Will What I Want」では、UnderArmourのブランドを再形成し、社会における運動能力を再定義した。モデルのジゼル・ブンチェンとバレリーナのミスティ・コープランドを起用し、過剰な男らしさに支配された「エリートアスリートとは何か」に対する固定観念に挑戦するという内容で、2015年のカンヌライオンズでサイバー部門グランプリを受賞している。
「特にフィルムは名作ぞろいです。シンプルながら人の心のコアな部分に響く、社会的な共感度が高い表現を追求していることもDroga5の特徴。いずれも、ブランドパーパスが起点になっているからこそ生まれたものです。創業者のデビッド・ドロガは常にHumanityを大事にしていて、“人の心に寄り添う、誰かのためになるような表現でなければ意味がない”と私たちに語りかけてきました。近年、日本はフィルムカテゴリーでは国際的な評価の場で存在感を示し切れていない状況があり、東京オフィスでもフィルムの可能性にチャレンジしたいという思いもあります」(浅井さん)。
さらに前述のIHOPのケースではブランドパーパスの実現のため、社員教育のマニュアルから見直し、本社の壁面のデザインをリニューアルするところまで踏み込んだ。コミュニケーション以外も含めパーパスを一貫して表現することを重視し、忍耐強く、ディテールまで気を配る。このように高いレベルまで一貫性を徹底する、というのがDroga5流の仕事であることがわかる。
Droga5の新章を共に歩む仲間を募集
最後に、Droga5でクリエイターとしてのキャリアを積む面白さについて、浅井さんは「スタートアップのような雰囲気がありながら、アクセンチュアという親会社の傘下にあるというバックボーンは大きい」と強調する。「新しいチャレンジに対してオープンで前向きであり、自由にクリエイティブな仕事に打ち込むことができる。NY、ロンドンの拠点のネットワークも活用しながら、グローバルなプロジェクトの経験を積むことができます」。
一方、現実的な課題としてグローバルエージェンシーでの仕事は語学力に不安を感じる人も多いだろう。浅井さん自身は海外生活が長く、既に入社したスタッフの多くも同様のルーツを持つが「必ずしも語学力は必須ではない」と強調する。「語学力のレベルよりも同じ志を持っている人、Droga5の理念にフィットする人たちと出会いたい」という思いが強い。
デビッド・ドロガは東京オフィス開設にあたり、次のように宣言している。「日本を皮切りに、クリエイティビティとストラテジーの力を心から信じているDroga5の新章が始まる⸺」。東京オフィスでは、クリエイターの可能性を広げるチャレンジを続けていく。そんな志を持ち、ビジョンに共鳴する仲間との出会いを求めている。
Droga5 東京オフィスでは以下の人材を募集しています。
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