7:買い物をしよう、街へ出よう
フランス語では、日用品を買う時と服などの嗜好品を買う時の言い方を明確に区別します。前者は「faire des courses」、後者は「faire du shopping」といい、「shopping(ショッピング)」という単語はちょっと特別な買い物として使います。
マルシェについて教えてくれたマダム曰く、「【faire du shopping】する時は、モノを買うだけが目的じゃないの。新しいお店をチェックしたり、試着してみたり、友達とショーウインドウを見ながら歩くのを楽しむだけでもいい。ショッピングはレクリエーション、娯楽なのよ」とのこと。
たしかに、パリの街は歩くだけでもショッピングを楽しめるような気分になります。パリの建築様式の構造上、基本的には1階が商店、2階以上が居住スペースと均一化されているため、ショーウインドウはお店の命。通りを歩く人の気を引こうとディスプレイにも力が入っています。
高級百貨店ラファイエット、長いショーウインドウが歩く人を楽しませる
フランスの買い物事情を考察すると、日用品を買うにしても、ちょっといいショッピングをするにしても、歩いて、見て、手に取って、ダイレクトなコミュニケーションをとても大事にしているといえます。
フランス語では市場を表す「マルシェ(marché)」と、動詞の「歩く」を意味する「マルシェ(marcher)」は同じ発音。買い物とは歩くこと。街へ出て歩いて楽しむこと。ネットでなんでも買える便利な時代になっても、フランスの伝統的な買い物文化はまだまだ続くように感じます。
次ページ 「フランスの小売から「OMO時代の歩き方」が見えてきた」へ続く
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)
新卒で電通に入社し、コピーライター、デジタルプランナー、クリエーティブディレクターとして、様々な企業のプロモーション、ブランディング、新規事業開発などを担当。主な仕事としては、日本初の人工知能コピーライタープロジェクト「AICO」の新規事業立ち上げをはじめ、国語の教科書に掲載された「さびしくなったら、おヘソをみよう」(日本新聞協会グランプリ受賞)、『One Show 展』(カンヌゴールド)、『JRA進撃の有馬記念』、IBM Watsonハッカソン『日本IBM賞』、宣伝会議第1回コラムニストグランプリなど受賞多数。マレーシアのELM Graduate SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は「消費、そして地域を元気にする」をミッションに小売業界のデジタル革新を担う株式会社フェズにて、クリエイティブ・ディレクションと広報に従事。クリエイティブコーチとしても活動。またオランダ在住のリモートワーカーとして、EU圏からアジア圏まで海外リテイルのトレンドについても執筆や講演など精力的に活動中。主な連載『VUCA時代の小売と消費』(ダイヤモンド社)、『世界の小売から』(宣伝会議 AdverTimes)等
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)
新卒で電通に入社し、コピーライター、デジタルプランナー、クリエーティブディレクターとして、様々な企業のプロモーション、ブランディング、新規事業開発などを担当。主な仕事としては、日本初の人工知能コピーライタープロジェクト「AICO」の新規事業立ち上げをはじめ、国語の教科書に掲載された「さびしくなったら、おヘソをみよう」(日本新聞協会グランプリ受賞)、『One Show 展』(カンヌゴールド)、『JRA進撃の有馬記念』、IBM Watsonハッカソン『日本IBM賞』、宣伝会議第1回コラムニストグランプリなど受賞多数。マレーシアのELM Graduate SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は「消費、そして地域を元気にする」をミッションに小売業界のデジタル革新を担う株式会社フェズにて、クリエイティブ・ディレクションと広報に従事。クリエイティブコーチとしても活動。またオランダ在住のリモートワーカーとして、EU圏からアジア圏まで海外リテイルのトレンドについても執筆や講演など精力的に活動中。主な連載『VUCA時代の小売と消費』(ダイヤモンド社)、『世界の小売から』(宣伝会議 AdverTimes)等
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