花王は7月6日、美容部員約6000人の通勤費・交通費申請・承認業務にAI(人工知能)技術を導入し、年間で約5万5000時間の削減につなげる。約1.5億円分のコストを浮かせる効果があるという。グループでも今後、会議や出張などの活用にまつわる経費精算手続きの省力化を進めるほか、勤務計画や移動ルートなどについても自動化を図り、業務効率の向上を目指す。
百貨店や総合スーパーマーケットの化粧品売り場で接客する美容部員が約6000人在籍する花王ビューティブランズカウンセリングで4月から、Miletos(ミレトス、東京都目黒区)の経費精算システム「SAPPHIRE(サファイア)」を稼働させている。
「SAPPHIRE」はAI技術を用いて、勤務情報や入退館情報などから移動経路を予測し、出退勤に伴う移動は通勤費、店頭や営業所間の移動は交通費として自動で仕分け、会計処理するという。入力や確認、承認にかかる時間を年間約5万5000時間削減できる見込みで、顧客対応の品質向上につなげる。
新型コロナウイルス感染症の拡大で営業時間が変動したり、いわゆる「働き方改革」で勤務形態が多様化したりした結果、通勤費・交通費を固定ではなく、実費精算に移行する企業が出てきている。その分、精算にまつわる事務作業の煩雑さが増したり、不正経費利用や、意図しない二重申請など統制上の課題も見えてきている。
花王ビューティブランズカウンセリングはソフィーナビューティカウンセリング、カネボウビューティカウンセリングを統合した新会社。ことし4月1日付で設立した。