「やりたいこと」で会社に利益
実際にどうやって転職活動を行ったかについても簡単に触れられたらと思います。
結論から言うと
コピーライター養成講座に通う ＝ 転職できる
ではないと思っています。
話は逸れますが、新卒採用以外でコピーライターやデザイナー、プログラマーといった、専門職系の職種に転職する場合は、基本的に経験者が求められます。
このコラムを書きながら、某ビ○リーチで「コピーライター」と検索してみたところ、90件ほどの求人が出てきました。しかし、検索ワードに「未経験」と加えると、9件にまで減ってしまいます。
要は、可能性は1/10に減ってしまうわけです（もちろん未経験可と書いていなくても未経験で採用される会社もあるのと、時期によって変わるので大まかな目安ですが）。
自分なりに求職者をカテゴライズしてみると、大きく以下に分かれるのではないかと思います。
②専門学校などに通った人
③何も学んだ経験がない人
「コピーライターになりたい！」と思った瞬間に、③の何も学んだ経験がない状態で求人にアタックすることも選択肢のひとつではあるにはあるのだと思いますが、周りを見ていても、恐らくかなり険しい道なのではないでしょうか。
一歩進んで、②の専門学校などに通った人のポジションになると、9件の「未経験OK」の求人の通過率は上がるでしょうし、「未経験OK」と書いていない会社であっても、通る可能性は増えてきます。
そして最後、①の実務経験まで持っていくにはどうしたらいいのか、ですが、もちろん、どうあがいても組織的に不可能な環境もあるとは思います。ただ自分の経験を振り返ると、ただ「やりたいです！」と主張するのではなく、「これくらい利益が出ます！」という視点で常に上司と交渉していた点は、新しいことを組織の中でやらせてもらう上で、成功要因だったのではないかと思います。
例えばキャンペーンでWebサイトをつくるとして、クライアントへの請求額200万円のWebサイトを、自分で企画やデザインを行い、コーディングのみ数十万円で外注する、という仕事のやり方を最初に提示し、営業のタスクをこなしながら作業をしていたので、単純計算ではそこそこの利益を生んでいました（もちろん会社の看板あってのことですが）。
利益の観点からの提案であれば、社風にもよると思いますが、営業ツールや店頭POPなどの制作物であれば、チャンスをもらいやすいように思います（同じようなやり方で実務経験を積んでいた知人も複数いました）。
あくまで基本は講座にちゃんと通い、ポートフォリオをつくって転職されている方が多いので、寄り道的事例ですが、こんな事例もあるのかという参考になればと思います。
クリエイティブ✕事業への道
ずいぶん長くなってしまいましたので最後に。
近年「広告の仕事はAIに取って代わられる」「広告はもう見られない」という論調を多く目にします。実際に自分もほとんどテレビを見ないですし、市場自体は無くならないにせよ、減っていくことは否めないのかもしれません。
しかし、いち駆け出しのぺーぺーの視点ではありますが、基本的に広告とは何かしらの課題解決です。同時に、近年世の中で多くの企業が求めている新規事業開発なども、基本的には何かの課題に対するアプローチになります。
そうした意味でも、広告業界で学べる課題解決力は、アウトプットの形は変わっていったとしても、必ず生かせるものなのではないかと思っています。
また、コピーライター養成講座で学べる、ひとつのサービスや商品に対して、短時間で100本近く、ビジネスで機能するアイデアを出すというスキルは、これからの時代において、とても強い武器になるのではないかと感じています。
もちろん、限られた時間、空間でバシッと人の心を動かすCMやグラフィックも無くならないと思っていますし、その技術の追求はずっと続けていきますが、一方で諸先輩方から教わった広告のスキルを、デジタルネイティブ的な視点で新しい事業などを生み出していけたら、こんなにワクワクすることもないかと思っています（この記事以降、メディアで見かけなかったら何もできなかったのだと察してください笑）。
幸い、さまざまな分野を広く薄く寄り道をしながらキャリアを歩んできたので、コピーライター養成講座で学んだことを基軸に、新卒で他業界、特にまちづくり分野の経験をしたことも強みとしながら、独自の視点でいろいろと生み出していきたいです。
もし、このコラムをきっかけに、勝手にポスターをつくって先輩に怒られてしまった方がいて、いつかお会いできる日があるとすれば、そのとき恥ずかしくない結果が残せるよう、私もこれから精進していきたいと思います。
枌 真太郎
トヨタ・コニック・プロ
コピーライター／プランナー
URリンケージ新卒入社。自社のクリエイティブ責任者などを経て、トヨタ・コニック・プロへ移籍。主なコピーワークとして、トヨタレンタカー × 三代目J SOUL BLOTHERS『レンジョイしようぜ！』、URリンケージ企業コピー『いいまちつくろう』等。2級ウェブデザイン技能士。受賞歴はラジオCM賞など少々。
いまでも多くの有名クリエイターを輩出している本講座。幾度かの改変を経て、内容を一新。コピーやCMといった、広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。
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