日本で人気の高いロイヤルティ重視のマーケティング
このコラムでも何度か紹介していますが、アレンバーグ・バス研究所のバイロン・シャープ教授は、「ロイヤルティプログラムがまったくのお金の無駄である」と以前からことあるごとに説いています。彼曰く、ロイヤルティよりも大事なのは「市場への浸透」であると。
実際のところ、この考えは日本のマーケターから、あまり評判が良いとは言えません。なぜなら、現代の日本は、すでに人口増と市場の拡大が起きた高度経済成長期をとっくに過ぎて、人口も減少傾向にあるからです。つまり、今後市場規模は縮小することはあっても、成長は見込めないのです。
そのような市場環境においては、ホワイトスペースは見つからず、実際に目にするのは既存顧客ばかり。そのなかで売り上げを維持するには、何より今、目の前にいる既存顧客に対するアプローチで、彼らのロイヤルティ(忠誠心)を上げることが大事なのだ、というわけです。
このロイヤルティ重視のマーケティングは、ロイヤルティプログラムとか、ファンマーケティングとか呼ばれて、とりわけ日本企業には受けが良いようですが、外資系企業においても例外ではありません。たとえばECで市場を席巻しているアマゾンのような巨大外資企業でさえ、他国では導入していないポイントプログラムを日本だけは実施しています。「ほら、日本ではやっぱりロイヤルティプログラムは大事なのじゃないか!」という声が聞こえてくるようです。