7月16日~18日に、人気アーティストRADWIMPSによる有料ヴァーチャルライブ・エクスペリエンス「SHIN SEKAI“nowhere”」が配信される。
これはクリエイティブ集団 PARTYが自社開発したヴァーチャル パーク システム「VARP」を活用したもの。本システムはでは、アーティストやイベント主催者がオリジナルのヴァーチャルパークを作成し、IOSまたはAndroid対応のアプリケーションとして配布することができる。
「SHIN SEKAI」において、ユーザーはPASSを購入後、仮想空間上で展開されるRADWIMPSの楽曲をモチーフにした世界にアバターとして参加。3日間すべてのステージ公演を楽しむことができる、まさに“ロールプレイング・ミュージック”といえるもの。日本のみならず、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなど、世界40以上の国と地域に配信される。
この公開に先だち、7月13日に東京・渋谷の映画館WHITE CINE QUINTOにて、「SHIN SEKAI」先行プレイ体験会が開かれ、RADWIMPSのメンバーと企画制作に携わったPARTYのメンバーが本作の制作について語った。
この企画が始まった経緯について、RADWIMPS 野田洋次郎氏は「昨年の緊急事態宣言を受けて、ドームツアーやアジア・ヨーロッパ・北米のワールドツアーが中止に。いつライブができるのかというどん底の気持ちを味わう中で、僕らも絶やさずに音楽を届けていきたいという気持ちがあった。そのときに、友人にPARTYを紹介してもらい、全世界の人とライブ空間を共有できるこのシステムを知った。こういうかたちでライブをやっている人はまだ少ないし、やれるならやってみたい、挑戦してみたいと思った」と話した。
「SHIN SEKAI」は専用のアプリを立ち上げると、ユーザーはアバターを選び、その世界に入っていくことができる。スマートフォンの画面操作で、ダンス、ジャンプ、移動ほか、360度視点を変えることも可能。さらに、参加者同士のチャットもできる。ライブは「前前前世」「カタルシスト」「棒人間」ほか全7曲のセットリストで、それぞれの曲ごとに異なる世界が展開される。メンバーのパフォーマンスは、それぞれ50個のセンサーをつけてのモーションキャプチャで撮影されたという。
本作において、主にストーリーテリングの部分を担当したPARTY クリエイティブディレクター 眞鍋海里氏は「リアルでライブができないからヴァーチャルで、ということではなく、テクノロジーを使ってモバイルで実現できる共体験を考えていきました。RADWIMPSの場合、歌詞や楽曲の意味を感じとっているリスナーが多いので、それぞれが楽曲の主人公になって、その世界を旅するという構成にしています」と話した。
制作には、約1年を要した。モバイルは多くの人が持っているメディアだが、それぞれの視聴環境が異なるため、そこにライブを同じ状態で届けられるように実装することは難しい作業だったと、アプリ開発などテクニカル部分を担当したPARTY テクニカルディレクター 梶原洋平さんは振り返る。「自分が好きなアーティストの世界に飛び込んで、仲間と楽しむことができる。これはいまという時代だから、そしてRADWIMPSだからできた新しい試み。RADWIMPSとリスナー、そしてスタッフが築いてきたよい関係を僕らが邪魔せず、そこからどうブーストしていけるかという、理想のかたちを考えていきました」。
2020年の年末にプロローグライブを公開した際に、世界中から多くのリスナーが参加。ヴァーチャル上で国内外のリスナー同士の交流が生まれた。ベースの武田祐介氏は「国内外の人とコミュニケーションできて、新しい場を提供できた」ことを実感したという。プロローグ版を経ての今回の公開に、野田氏は「すごい入口に立ったのではないか。これからこの作品がどう進化するのか楽しみだし、今後は実際のライブとの融合もできるのでは」と話した。そしてギターの桑原彰氏は、「新たなライブの可能性を見せることができて楽しかった。この技術を使って、他のバンドと共演したり、フェスができたら面白い」。これからの新しいライブの在り方に、各メンバーが意欲的な姿勢を見せた。
スタッフリスト
- オーガナイザー
- voque ting
- 全体企画・アプリ開発・プロデュース
- PARTY
- 企画・プロデュース
- Fabrica.、puzzle、kaibutsu
- アプリ開発
- Alche
- 3Dスキャン
- CyberHuman Productions
- モーションキャプチャー
- SPICE
- ボリュメトリックキャプチャ
- Crescent inc
- 映像制作
- CEKAI
- サイト制作
- YAYA
- PR
- Platinum