電通は7月15日、サイン(署名)をデジタルコンテンツとする「LIVE Sign.」(ライブサイン)について発表した。サインは、テレビ放送やオンラインでの動画配信にリアルタイムで合成可能。2020年12月の全日本フィギュアスケート選手権大会などでの使用例があり、フィギュアスケートの羽生結弦選手や、スピードスケートの髙木美帆選手、ショートトラックの渡邊啓太選手らのサイン動画は、総計で70万回以上表示された。今後、スケート競技以外にも使用が内定している。
本年もありがとうございました。
良いお年をお迎えください。#フィギュアスケート #羽生結弦 #JSF年末カウントダウン pic.twitter.com/6teVMkYCIV— 公益財団法人日本スケート連盟 (@skatingjapan) December 31, 2020
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— 公益財団法人日本スケート連盟 (@skatingjapan) December 31, 2020
いつも応援ありがとうございます。ショートトラックの選手たちより2021年の抱負をお届けいたします。
困難な毎日が続きますが、前向きに頑張っている選手たちへの応援を引き続きお願いいたします。#渡邊啓太 #ショートトラック #2021年の抱負 pic.twitter.com/8LlidtSanZ— 公益財団法人日本スケート連盟 (@skatingjapan) January 18, 2021
電通は「LIVE Sign.」に関連し、NFT(非代替性トークン)というデジタル証明技術の活用を検討している。NFTは、唯一の所有者であることが証明でき、デジタル化したサインデータの所有権を明確にし、適切に取引できることが期待される。世界的な美術品オークションハウスではことし3月、デジタルアートのNFTが約8億円で落札されたケースもある。電通は、グループが出資するベンチャー企業スタートバーンと共同で、NFTを活用した「LIVE Sign.」の実証実験を進める。
「本来、サインはメモリアルな瞬間を切り取ったもの」と、「LIVE Sign.」に携わる電通の日比昭道は話す。「同じ人のサインでも、その背後のシチュエーション、ストーリーを加味すれば唯一無二のもの。NFTを活用すれば、〔コピー可能な〕デジタルデータとなっても、『サインを持っている』という気持ちを満たせるし、不適切な方法で再販することも防げる」(日比氏)
アスリートに限らず、アイドルや俳優、声優などのサインが入った品が、フリーマーケットアプリやオークションサイトで金銭目的で販売される実情もある。日比氏は、「サインは、書いた人とファンとのつながりの現れのひとつ。善意で応じ、渡すもの。こうした課題の解決も可能だと考えている」と話す。
ファンを獲得し、より愛着を深めてもらうことを図るスポーツ団体の活用も想定している。
「たとえば、大会で優勝した選手が『LIVE Sign.』でサインを書き、そのサインをプリントしたTシャツを販売するといった案がある。〈あの大会で優勝したときの〉というメモリアルな瞬間が価値として加わるとファンもうれしい。特にマイナースポーツにとっては収益源として、拡大や成長の後押しになるのではないか」(同)
日比氏は、ロボットを介してスポーツの試合を観戦したり、選手とコミュニケーションが取れる「Future Box Seatβ」にも携わる。2020年7月の北海道日本ハムファイターズ対千葉ロッテマリーンズ戦を皮切りに、フィギュアスケートの「ドリーム・オン・アイス2020」やTリーグでも実証実験を行ってきた。現在も画質などの改良を続け、試用を重ねている。
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「ファンの方々が、ロボットを通じてであっても、選手と対話し、彼ら、彼女らの素の表情が見られることにとても価値を感じていることが伺えた。また、アスリート側も、ロボットの向こう側にファンがいるからこそ、喜んで対話に応じてくれていたのだと思う。『Future Box Seatβ』を通じて得た、デジタルでも選手たちとファンの一生モノの思い出を作ることができるのではないか、という着想が『LIVE Sign.』につながった」(日比氏)