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—これまでのご経歴を教えてください
大学3年生のころ、縁あって小田桐昭さんに引き上げていただき、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン(当時)に入社しました。そのころオグルヴィは新卒採用をしていなかったので、クリエイティブ職として初めての新卒社員となりました。2006年のことです。コピーライター、CMプランナーとして仕事をしていました。
2011年にTBWA\HAKUHODOに移籍して以降は、インテグレーテッドキャンペーンに携わっていました。その傍ら、ロサンゼルスのTBWA\CHIAT\DAYに1年間出向したほか、Media Arts Labなど、世界各国のオフィスやTBWAグループでも経験を積ませてもらいました。クライアントも、アップル、マクドナルド、東京都、アディダスなど、グローバルからローカルまで多種多様なブランドを担当しました。
アクセンチュア インタラクティブに移籍したのは、2020年10月のことです。
—傍目にも順調なキャリアを歩まれてきた印象です。その道を離れる決断をしたのはなぜですか
アクセンチュア インタラクティブを意識するきっかけになったのは2019年、世界屈指のクリエイティブエージェンシーであるDroga5を傘下に加えたというニュースでした。コンサルティングとクリエイティブが融合する、新しい動きを感じたんです。
広告業界での仕事は楽しかったし、不満はありませんでした。一方で、次の10年間を考えると、クリエイティブとして役割を拡張しなければならないとも思っていたんです。ビジネスの上流から下流まで越境しながら、あらゆるフェーズにクリエイティブを掛け合わせ、新しい体験や価値を創造する。これからのエージェンシーモデルをつくるのであれば、これまでのキャリアを生かしつつ、アクセンチュア インタラクティブで新たな挑戦ができるのではないかと。
—実際に移籍してみた感想はいかがですか
自分自身の視野が大きく広がりましたね。移籍直後からさまざまなプロジェクトをやらせてもらったのですが、広告業界の中だけでは接点のなかった多様な視点や才能と出会い、領域もとても広いことを実感しました。コンサルタントをはじめ、多彩な専門能力を持つ人たちとクリエイティブの新鮮な掛け算ができることに、とても可能性を感じています。
またクライアントとの関係においても、対峙する方々が大きく変わりました。これまではクライアント内のマーケティング部署の方々とプロジェクトを進めることがほとんどでしたが、現在は社長やCXOクラスの方々に直接プレゼンしたり、議論することが日常です。新興企業ならいざ知らずですが、誰もが知るビッグブランドでも、こうした機会に多く恵まれています。これは他の広告会社のクリエイティブとは違う環境ですし、クライアントにとってもエージェンシーにとっても良いことです。
—クライアントの経営層とはどのような話をするのでしょうか
ブランドパーパスやビジョンの言語化、新規事業のアイデアや顧客体験の開発、ブランドコミュニケーションの企画設計まで、世の中に出ていくときのアウトプットからの逆算もしながら、クリエイティブ視点で様々な話をします。ほとんどのクライアントが、数年後どうなっているかという点に不安を抱えています。5年後、10年後に自分たちがどのようにあればよいか、そのためにこの先どんなアクションを起こしてくべきか、という点に悩んでいるんです。今この瞬間にどんな打ち上げ花火をあげるかという一過性のものではなく、ブランドパーパスに基づいた一貫性のあるコミュニケーションを一緒に考えています。
—どんな点が経営陣に喜ばれますか
ひとつは言語化、アウトプットする力です。たとえばビジネスの上流フェーズには中長期経営計画というものがありますが、それが例え100ページ単位であらゆる分析をして、びっしりと文字や戦略が連ねられた立派なものだったとしても、当然そのままでは社内外に対しても円滑なコミュニケーションやアウトプットにはつなげられません。最も重要なところを抽出し、インパクトを持って伝わるように言語化、可視化していく。ロジックだけでは人の心や世の中を動かすことは難しく、そこにクリエイティブの力が生かせることを理解していただけると、経営陣にもありがたがってもらえます。
もうひとつは、新しい視点やアイデアの力です。新規事業やサービス開発において、その構想段階から入って新しい視点をもたらすことで、常識や既存の枠組みを超えたディスラプティブな顧客体験や価値の創造につなげていきます。
—お話の中に「クリエイティブの拡張」という言葉がありました。実際に拡張できそうですか
できると思いますね。たとえば、資生堂とアクセンチュアのジョイントベンチャーである資生堂インタラクティブビューティーにも関わっていますが、〈インタラクティブビューティー〉という新しい体験を提供するための解決策として、合弁会社を立ち上げてしまう。ビジネス変革から起こしていこう、というスケールですから。システム開発や組織づくり、社員教育までも内側から推し進めていく。その機動力には正直言って驚きました。
「みんなの銀行」も同様です。「銀行の時代遅れの常識や概念をぶっ壊す、まったく新しいデジタルバンクを作ろう」といったアイデアを口では簡単に言えますが、それが「できたらいいね」で終わらずに本当にできてしまう。実現するとなれば信頼が命の業態ですし、あらゆるケースにおいてミスが許されません。実行力や実装力が段違いなんです。
—実現可能性(フィジビリティ)を重要視するのは、クリエイティブでも同様ではありませんか
レイヤーが違います。もちろん広告会社のクリエイティブは普段、一見不可能そうなアイデアや表現でもそれを実現する術を模索し、インパクトのあるアウトプットにつなげていきます。ですが、ビジネス設計、あらゆる関係各所との協業や調整、組織づくりや法務、システム開発から運用、リスク管理、クライアント社内のコンセンサス形成となると、やはり広告会社の担務能力では手に余ると思いますね。
それから、とある競合プレゼンの席でクライアントから、クリエイティブ案だけでなく成果創出のためのKGIやKPI、シミュレーションも提案してもらえないか、とリクエストされたことがあったんですね。どうしようかと困っていたら、チームメンバーが全然できますよ、と。クリエイティブ案やデータ分析に基づいて最適化されたKGI/KPI設計をすぐに提出して、大手広告会社との競合にも見事勝利できたんです。すごいなと驚きました。
—そういった下支えを受け、変化した、あるいは変化できそうな点はありますか
こんなことを実現できたら、人々の生活、社会や文化に大きなインパクトを与えられるんじゃないか。そうやって考えたアイデアを本当に実現できる、ということです。新規事業やプロダクト、サービスを生み出すことが非常に身近になりました。
—アクセンチュア インタラクティブに加わったDroga5と、そのほかのクリエイティブエージェンシーとの違いは何だと思いますか
私たちは、ブランドにメイクを施したりファッションを着飾らせて外側からのイメージアップを図るより、ブランドの血や骨や細胞から創造していくことを大切にします。パーパスに基づいた一貫性のあるブランドアクションを内側から作っていく感覚です。
ブランドを血や骨や細胞から作るには、クリエイティブだけじゃ足りない。コンサルティングだけでも足りない。双方をうまく融合させることが重要です。Droga5とアクセンチュア インタラクティブの融合はまさに、そういった土壌づくりなのだと思います。
—クリエイティブとコンサルティングの融合について、どのようにお考えですか
これまでにも多くの大手コンサルティング会社がクリエイティブを融合しようと挑んではきましたが、ことごとく失敗してきました。アクセンチュアがこれまでと大きく違うのは、グローバルでのDroga5獲得に象徴されるように、クリエイティブとの融合に会社全体が本気ということです。人材も、クリエイティブに理解を示すコンサルティングと、ビジネスの上流領域にまで視野を拡げているクリエイティブが集まってきています。
そして、クリエイティブとコンサルティングの両極端の才能を引き出し、効果的につなげ、最大限のシナジーを生みだす。その重要な役割を担っている機能こそがアクセンチュア インタラクティブであり、「Communicate Experience」チームです。他のコンサルティング会社でもクリエイティブ機能を語っているところはありますが、スケールもクオリティもまったく違いますね。
—今後、どのような仕事をされるのでしょうか
まだ詳細は言えませんが、現在進行形で日本を代表するさまざまなブランドと新規事業の開発に取り組んでいます。中長期的なスパンにはなりますが、ビジネスの上流から下流まで一貫したクリエイティブを実現し、アウトプットできる日が今から待ち遠しいです。
そしてこの夏には、クリエイティブ職で将来活躍したい学生を対象にしたインターンシッププログラム「Accenture Interactive Creative School」も初開催します。社内のクリエイティブ組織の変革やクリエイティブ人材の強化にも力を入れていきたいと思います。
お問い合わせ
アクセンチュア株式会社 インタラクティブ本部
MAIL:JPN.EH.Interactive.Recruiting@accenture.com
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