日本人から見ても「ブランド論」は欧米中心
市場においてブランド間の競争が未熟に見えるということは、企業におけるブランディングのスキルも未熟であるという理解につながります。そして、この一見「日本市場は、ブランドが未熟に見える」状態は、何も外からの視点に限りません。多くのマーケティング思考やブランド理論が、海外の経営論者やマーケティング研究者から紹介される際に、得てして日本のマーケターから一般的に聞こえる声です。
多くのブランド論でケーススタデとして取り上げられるのはアップル、コカ・コーラ、マクドナルド、フォルクスワーゲンなどの欧米ブランドが中心であり、日本企業の事例が取りあげられることは数少ない気がします。トヨタ、花王、パナソニック、資生堂のような日本の大企業のブランドが欧米のブランド論において取り上げられることもありますが、何か中途半端な分析の対象にしかなっていない印象です。どういうことかと言えば、主眼はブランド論というより、絶え間ない新商品開発を繰り返す日本国内市場でのマーケティング競争に置かれているケースが多い。これは逆に言えば、商品開発力よりも、ブランドが重視される欧米市場において、多くの日本ブランドは国内とは全く違う形の競争を強いられているとも言えるでしょう。
日本国内のマーケティング活動自体も、商品や流通、価格は重視される一方で、ブランドが主体となる広告は比較的軽視されているとも言われます。日本のマーケティング活動では、欧米でいう長期的な視点での「ブランディング」が欠けており、短期的な売上を目的とした商品販促が重視されているというのがその根拠です。
果たしてこの日本市場の特殊性、そしてブランドが未成熟な状態というのはその通りなのでしょうか?