【広報担当必見】ネット炎上レポート2021年7月版 〜日付で炎上?国や文化の違いによる炎上リスク〜

調査背景・概要

株式会社エルテスでは、公開されているSNSデータを独自に収集・分析し、2019年8月より毎月ネット炎上レポートを公開しております。企業の広報やリスク管理を行う方々に炎上トレンドをお伝えすることで、自社のレピュテーション保護を行っていただきたいという想いを持ち、作成しております。

エルテスの定義するネット炎上

▼定義
ネット炎上とは、オフライン・オンラインでの行動や発言に対して、ネット上で批判が殺到し、拡散している状態を指します。対象に対する批判の投稿量が、通常時と比較して有意に多いことが条件となります。

▼炎上事例の収集方法
SNSやメディアの中で、批判が殺到しやすい媒体を複数選定し、常時ウォッチング。その中で、上記の条件を満たす事象を確認した場合、炎上事例と認定しています。

ネット炎上レポート

 

■2021年7月のネット炎上トレンド

7月に起きた炎上に関して対象を区分したところ、最も割合が多かったのは「企業・団体」の69%(前月比+3%)でした。2番目は「個人・著名人」の19%(前月比+10%)、
続いて「マスメディア」の6%となります。
「企業・団体」の炎上区分の内訳で最も多かったのは「自治体・団体」で27%(前月比+14%)、次いで「メーカー」、「サービス」、「教育機関」と続きます。
また「企業・団体」を対象とした炎上内容では「不適切発言・行為、失言」が41%(前月比+11%)が最多で、6月に多かった「顧客クレーム・批判」の48%(前月比-9%)や「不祥事/事件ニュース」の4%(前月比-9%)と比べても、大きな割合を占めています。
7月に入って「自治体・団体」の炎上が増加した要因として、オリンピック開会式の関係者に関連した批判が目立ちます。加えて、新型コロナウィルスに関連する炎上も継続的に起きており、特にワクチン接種に関連する批判などが目立ちました。

 

■2021年7月の炎上理解の事例

某電化製品メーカーの中国法人が、7月7日22時に新製品を発表すると予告したことに対して、中国のソーシャルメディアなどで批判の声が上がりました。
その理由は7月7日22時が、1937年に発生した盧溝橋事件と同じ日付だから、というものでした。盧溝橋事件とは、北京の郊外で発生した日本と中国の軍事衝突であり、事件を契機として両国は日中戦争へと突入していきます。中国としては盧溝橋事件を侵略戦争のきっかけとなる象徴的な事件として捉えているため、同じ日付に日本企業が製品発表を行おうとしたことについて挑発的だと感じたようです。
批判を受けてメーカー側は謝意を示し、発表日時を変更することになりました。

こうした事象は、今回が初めてではありません。かつて、アメリカを本国とする企業の公式アカウントが原爆記念日である8月9日に「なんでもない日おめでとう。」とツイートして批判を浴びたことがありました。
この「なんでもない日」はアニメの劇中で歌われる“誕生日でない残り364日を祝う歌”の中の歌詞でした。単に「誕生日ではない日」という意味だったようです。
しかし8月9日は日本人にとって、原爆という痛ましい悲劇に思いを寄せる特別な日です。アメリカを本国とする企業のツイートに対し、原爆記念日を否定されたと感じた人々の批判が寄せられる結果となりました。

これらの炎上の背景にあるのは他国や異文化に対する理解の欠如ですが、“日付”が持つ歴史的意味に関して感覚的には察知できないため、事前に学習しておく必要があります。
世界には無数の事件、事故、天災などに関わる特別な日付があります。それらの全てを記憶し対応するのは困難かも知れませんが、少なくとも自社が活動している地域や、関わりの深い文化に対しては配慮すべき日付を事前に学習すべきと言えるでしょう。

日本に対しては、中国や韓国で反日感情を持つユーザーからの反発が多く見られるため、そうした地域について学習するのも一手だと言えるでしょう。

投稿に注意が必要な日付一覧

 

まとめ

2021年7月に起きた炎上では、オリンピック開会式に関連した人物の炎上などが目立ちました。特徴的だったのは、かなり昔の言動が引っ張り出される、現状のポジションへの適正を問われるという構造になったことです。一昔前であれば、そうした過去の過ちを掘り返すことは困難だったでしょうが、今や多くの出来事がデジタルデータとして保存されています。過ぎ去った過去の出来事が思いもよらないタイミングで世間に晒され、批判を浴びる危険性が以前よりも高まっているといえるでしょう。

また7月の特徴的な炎上として、中国における歴史的事件の日付と絡んだ炎上がありました。
今や世界のあちこちがつながっており、我々は互いに無関係ではありません。他国や異文化にとっての痛みを「自分とは無関係」と切って捨てることは困難になりつつあります。
日付による炎上は象徴的ですが、それ以外にも言葉や身体表現に含まれる侮蔑的な意味など、文化が異なることで相手の怒りを買うポイントは無数にあります。他者への適切な関心を持ち、学習を続けることによって、意図しない形での炎上を避ける必要があります。


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