福島民報社は8月21日の福島県民の日に、「おくる福島民報」を発行した。2018年から毎年実施し、4年目となる今年のテーマは「会う約束をおくる」。県北は桃、県中・県南地域は白河ラーメン、会津地域は日本酒と郷土料理、浜通り地域は海鮮丼と四地域ごとに地場産品を写真で紹介している。
特別紙面で通常紙面を包み、封を閉じれば、定形外郵便物として送付できる「おくる福島民報」。2018年から始まったこの企画は、第72回 広告電通賞の総合賞・最高賞、Cannes Lions 2019 ブロンズ、2020年度のグッドデザイン賞などを受賞し、国内外で評価されている。
「人に会えなかったこの1年は、やっぱり人は人に会いたいものなのだと実感した1年でもありました。購読者の手で地元の新聞を郵送してもらうことで、県外にいる元県民にふるさとの情報を届けるこのおくる福島民報。4年目となる今年のテーマは『会う約束をおくる」です」と話すのは、コピーライター 姉川伊織氏。
「いまみんなが一番したいことといえば、わいわい会話しながら食事をすることでは?とチームで話し、発行地域ごとに4種類、ご当地の食の風景を撮影し、ラッピング紙面にしました。ふるさとに帰ることや、誰かと食事を楽しむこと。そんな当たり前だったことが特別なことになってしまった今、つぎの再会はどんな意味をもつのか?大変な自粛生活をいっしょに乗り切った仲間との打ち上げか、社交辞令で終わらせていた口約束のリベンジか。久々に地元で再会するふたりを思い浮かべながら、それぞれ違う4つのコピーを書きました」。
その言葉通り、「つぎの再開は、ゆっくり思い出す時間になる。誰かと食べる、ふるさとの味を。」(県北地域)、「今度行こうよを、今度こそ。」(県中・県南地域)、「つぎの飲み会は、打ち上げになる。一緒にがんばった仲間との。」(会津地域)、「帰りたいは、食べたいだ。」(浜通り地域)とそれぞれのコピーは、人に会う喜びが伝わるコピーとなっている。
また、各地域の地場産品を紹介する写真は、石渡朋氏が撮影した。「カメラマンの石渡さんが実際に目でみているような視点で切り取ってくださったことで、見た人の欲望やなつかしさをより掻き立てるような紙面をつくることができました。気兼ねなく人と会うことが難しい状況の中で、地元でしかできない体験、そこで誰かと過ごす時間が生み出すパワーを届けられるようデザインしています」(アートディレクター 小林千秋氏)。
そして小林氏自身、地元である福島県を離れ働くひとりだ。「家族や親戚、地元の友人がこの仕事をとても喜んでくれたことが何より嬉しかったです。この新聞を受け取った方が1日も早く福島で再会を叶えられる日が来てほしいです」。
スタッフリスト
- 企画制作
- 電通+電通東日本+WOIL
- CD
- 熊谷由紀
- 企画
- 長島龍大
- AD
- 小林千秋
- C
- 姉川伊織、三浦麻衣
- CPr
- 阿部浩二
- Pr
- 里見勇人
- 撮影
- 石渡朋
- レタッチ
- 安藤瑠美
- AE
- 原田空輝