オフィス外でもデスクワークや打ち合わせ、会議などを行う働き方「テレワーク」向けに鉄道各社が新サービスを打ち出している。利用者が定着すればビジネスパーソン向けの接点として、広告メディアとしての開発も進みそうだ。
JR東海は8月26日、東海道新幹線「のぞみ」の7号車をテレワーク向けの車両として10月1日から運行すると発表した。会員制予約サービス向けの専用商品として発売する。予約は9月1日から受け付ける。
加えて、2020年7月に運行を開始した新型車両「N700S」では、膝上クッションや簡易ついたて、充電器などのグッズも無料で貸し出すほか、Wi-Fiの通信容量を2倍に強化する。2022年春以降には喫煙ルームを改装し、打ち合わせ用のビジネスブースも設ける予定。喫煙ルームは終了する。
JR東日本は駅に設置する個人向けのテレワーク用ブースの設置を加速する。西武鉄道と提携し、9月16日に高田馬場駅、国分寺駅、武蔵境駅の3駅でテレワーク用ブース「STATION BOOTH(ステーションブース)」を稼働させる。
駅内やホテルへの共同利用オフィスの設置も進めており、8月24日時点で全国約240カ所に展開する。JR東日本は2023年度をめどにテレワーク向けのスペースを1000カ所へ広げる。7月にはJR東日本の定期券を持つ人向けのサブスクリプション(月額利用制度)サービスも開始した。
IT専門調査会社IDC Japanの調べでは、2020年の国内のテレワーク導入企業は19年比2.5倍を超える161万社に拡大。実施率は19年の16.3%から42.6%へ急伸した。実施人口は997万人と推計している。
同社は、ワクチン接種や人流抑制などの新型コロナウイルス感染症対策が奏功し、収束した場合には、2022年のテレワーク導入企業や実施者は減少に転じる見通しを示している。実施率予測は20年から4.5ポイント下げ、38.1%。2025年の実施率は40.8%で、2020年~2025年の年間平均成長率はマイナス0.9%とした。