近鉄百貨店が廃棄ロス削減のためのプロジェクトに乗り出した。9月1日、食品関連の新興企業クラダシと共同で、賞味期限が迫った食品のほか、日用品や化粧品を販売するECサイトを公開した。同社はここ数年で、地域産品を扱う「大和路」「紀州路」などのほか、冷凍食品の「近鉄のプレミアム冷凍食品」「冷凍弁当〈おいしいプラス〉」、台湾の雑貨を扱う「神農生活」など、EC領域を拡大している。
サイト名は「KIKI MARKET(キキマーケット)」で、約1500品を扱う。商品は現状、クラダシのネットワークを活用して集めたものだが、今後は近鉄百貨店の商品の取り扱いも視野に入れる。同サイトへは、鉄百貨店のECサイトから送客を図るほか、スマートフォンアプリ「近鉄百貨店アプリ」でも利用者にアピールする。近鉄百貨店はアプリでの販売促進にシフトしており、利用者数は6月末で約30万人。直近では50万人を視野に入れる。
全体では新型コロナウイルス感染症による逆風にさらされているが、近鉄百貨店のECサイトは好調だ。2020年度のEC事業の売上高は22億円で、前年度比76%増と急伸。直近の21年8月度は前年比40%増で推移し、19年度比で約3倍となった。EC事業の売上高は2024年度までに50億円を目指す。
「KIKI MARKET」を主導するのはEC事業部。近鉄百貨店では廃棄衣料品の回収を営業推進が担当するなど、全社で掲げるESG(環境、社会、統治それぞれの頭文字)戦略に各部署が取り組んでいる。「KIKI MARKET」の売上の一部は社会貢献団体へ寄付する。