健康食品の定期購入など、60歳以上が全国の消費生活センターなどに寄せた通信販売にまつわるトラブルの相談件数が、2020年度に過去最多となったことがわかった。国民生活センターが9月2日に公表した。同センターは背景に、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、通販の利用機会が増えたことを挙げている。
チャネル別の構成比でも、通信販売が各世代で最も多くなった。世代別の相談件数では、60歳未満が23万4902件(全体の58.5%)、60歳代が5万2357件(同53.4%)、70歳代が4万17件(同41.6%)、80歳以上が1万5422件(同28.7%)だった。80歳以上ではこれまで、訪問販売に関する相談が最も多かったが、2020年度は通信販売が上回った。
中でも、定期購入(サブスクリプション)についての相談が目立った。60歳以上から寄せられた、「定期購入が条件であると認識しないまま、インターネット販売サイトで健康食品や化粧品などを購入してしまった」といった相談は1万4000件に上り、19年度比31.5%増と大きく伸びた。60歳未満も同比5.3%増の3万9700件と増加した。
主な相談事例は、「定期購入した健康食品の解約手続きがうまくできない」(70歳代女性)、「スポーツ専用定額制動画配信サービスを解約しようとして、完了したと思ったが、まだクレジットカードへの請求が続いている」(80歳代・男性)といったもの。
店舗購入や訪問販売、電話勧誘などそのほかの購入手段を合わせた、商品・サービス別では、架空請求などを含む「商品一般」が60歳以上では各世代でトップだった。60歳未満では、出会い系サイトやアダルトコンテンツなどを含む「デジタルコンテンツ」が1位で、60歳代や70歳代でも2位につけた。
6月に成立した改正特定商取引法では、定期購入でないと誤認させる表示などへの直罰化や、通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止などが盛り込まれている。