官民連携のポイントは「脚本力」、eスポーツで高齢者の課題解決へ

■2、コロナ禍のデジタルデバイドの解消に活用

eスポーツの活用には、もうひとつ狙いがありました。それは「デジタルデバイドの解消」です。非接触・非対面という条件が求められたコロナ禍では、デジタルの活用をより一層進めなければなりませんでした。

特にリスクも高い高齢者の方々にこそ、インターネットを使いこなして友人や家族とコミュニケーションをとり、正確な情報をリアルタイムに取得いただきたいのですが、実情としてはデジタルデバイド(情報格差)が存在しています。その背景には、知識不足やデジタルデバイスに触れてきた経験が少ないことが挙げられます。

高齢者の方がLINEを使うようになるきっかけは、お孫さんとコミュニケーションをとるためとよく聞きます。LINEを使うことではなく、その先にある“孫とのコミュニケーション”による「Fun(楽しみ)」が目的ということだと思います。

そこで、eスポーツの「Fun(楽しみ)」の力を活用し、友人や家族とeスポーツを一緒に体験する中で、自然とコミュニケーションとデジタルデバイスに触れる機会が増え、デジタルデバイドの解消やフレイル予防につながっていくのではないかと考えました。

 
eスポーツに対してもさまざまな意見や考え方がありますが、適切に活用することで、今後家族やコミュニティの間でのコミュニケーションツールとして、ひいては地域課題解決のツールとしてされていく可能性もあります。そんな風に、本プロジェクトを実施すべきロジックを頭の中で組み立てていきました。

次ページ 「3、課題をとらえた「脚本力」を発揮して官民連携を実現」へ続く

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長井伸晃(神戸市経済観光局経済政策課担当係長/都市型創造産業担当)
長井伸晃(神戸市経済観光局経済政策課担当係長/都市型創造産業担当)

関西学院大学卒業後、神戸市入庁。長田区保護課、行財政局給与課、企画調整局ICT創造担当係長、同局つなぐ課特命係長を経て現職。係長昇任後の企画調整局では、官民連携によるテクノロジーを活用した地域課題の解決や新たな市民サービスの創出に取り組んできた。これまでにフェイスブックジャパンやヤフー、Uber Eats、スペースマーケットなど15社との事業連携を企画・運営。現職では、地域産業の付加価値向上や次代の産業育成に向けた事業を推進・立案するとともに、その経済活動の担い手となる人材の発掘・誘致に取り組む。
神戸大学産官学連携本部非常勤講師。NPO法人「Unknown Kobe」理事長。
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」受賞。

長井伸晃(神戸市経済観光局経済政策課担当係長/都市型創造産業担当)

関西学院大学卒業後、神戸市入庁。長田区保護課、行財政局給与課、企画調整局ICT創造担当係長、同局つなぐ課特命係長を経て現職。係長昇任後の企画調整局では、官民連携によるテクノロジーを活用した地域課題の解決や新たな市民サービスの創出に取り組んできた。これまでにフェイスブックジャパンやヤフー、Uber Eats、スペースマーケットなど15社との事業連携を企画・運営。現職では、地域産業の付加価値向上や次代の産業育成に向けた事業を推進・立案するとともに、その経済活動の担い手となる人材の発掘・誘致に取り組む。
神戸大学産官学連携本部非常勤講師。NPO法人「Unknown Kobe」理事長。
「地方公務員が本当にすごい!と思う地方公務員アワード2019」受賞。

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