オウンドメディアを唯一の存在にする「世界観」
前述の通り、①企業主語と②読者視点を捉えてコンテンツを考えることは、比較的想像ができるやり方だと思います。ただ、個人的にはこれにもうひとつ③世界観を加えたいと思っています。それが「社内からの期待」つまりは「そのメディアに出たい」の声につながるからです。
世界観とはつまり、いくつかの要素が組み合わさったメディアの醸している空気感。「文体」「どんな読者が読んでそうか」「写真・デザインの雰囲気」「メディアの目指す姿」「掲載NGの内容」……他にもありそうですが、概ねこのあたりの要素が組み合わさって「その企業っぽい」と形容されるようなメディアのイメージを指します。
①と②の組み合わせであれば、極論すれば(費用さえ許せば)タイアップ広告記事のような形でも実現することはできるかと思います。世界観を作るということは、そのオウンドメディアの唯一性を担保することです。すなわち、読者から一連のコンテンツを通じてその「企業っぽさ」を感じてもらうことであり、そして社内からは「今までにない伝え方ができそう」といった期待につなげることです。
その期待感を醸成するための世界観づくりは、時間がかかる上に、ともすればセンスに依存するものと思われるかもしれません。ただ、実は世界観をつくる第一歩はとてもシンプルです。メディアを立ち上げた際に「所信表明」を行うことです。
このメディアは、何を目指して立ち上げたのか。どんなことを伝えていくのか。その上で読者の方にはどんなことを持ち帰ってほしいか。メディアの指針ともなる「所信表明」をコンテンツとして出すことが世界観を獲得するための第一歩であり、拠り所です。
KIRIN公式noteも、その所信表明を頼りに社内から多くの声が上がってきました。その声から生まれたコンテンツを見て、また違うところから声が上がる、その繰り返しが今のnoteをつくり上げました。
また所信表明を出すことには、もうひとつ大きなメリットがあります。それは、所信表明はそのまま「メディアの方針」にもなるという点です。どんな内容を届けるメディアにするか、どこに目標を置くか、メディアの立ち上げ時はとても悩むことですが、所信表明が書けるくらい具体的に示すことができれば、それ自身がメディアの方針になりえます。
ぜひ所信表明を書いてみてください。
次回は、より具体的に読まれるコンテンツづくりにおいて大切な「同心円状」の考え方について、具体的な事例とともに触れていきます。