キャンペーンの参加率「CxM」を介したのは全体の約3割
―サンスターは、昨年11月から「CxM」を活用したテレビCMを放映しています。
梶山:昨年11月に、当社が提供する番組『My Routine ~太陽と星空の時間~』で「CxM」を活用した「G・U・M」のプロモーションを実施しました。目的は、『クラブサンスターの会員獲得』の最大化。具体的には、番組内容に関連した視聴者参加型クイズを出題し、CM枠でも同様のクイズ形式で「G・U・M」に関連したクイズを出題。どちらも視聴者は二次元コードを読み込み、クイズに回答すると、デジタルギフトが抽選で当たるというものです。関東エリアのみでの放映、かつ本編2分、インフォマーシャル30秒というミニ枠での施策でしたが、計4回の実施で約3万人(UU)獲得という成果が得られました。
―今年も「CxM」を使った施策を行ったと聞きしました。
冨士川:今回はクラブサンスターの会員獲得と併せて、サンスターさまがソーシャルで実施していたプレゼントキャンペーンへの参加誘導を図りました。さらに今回は、CMを2種類制作しました。ひとつは、以前の取り組みと同様に、二次元コードの表示を前提としてキャンペーンのプロモーションのみを行うCM。もうひとつは、通常の純広告としてのテレビCMを放映しながら画面に二次元コードも表示するという新しい試みです。
CM内容は、直接的にキャンペーンを訴求するものではありませんが、企業の想いや取り組みを伝えながらも、CM中にアクションを起こしてくれるのかという実験も兼ねて行いました。結果、約1 ヵ月のソーシャルキャンペーンの総参加者の中で「CxM」(30秒インフォマ)を介したPVが約3割にのぼりました。番組の文脈とマッチしたCMを流したことが有効だったと考えていますが、このような成果が出たことは、当社としても良い成功事例になったと考えています。
梶山:テレビCMは、認知を獲得できれば、さらに最近では共感して拡散してもらえれば、その役割を全うできていると思っていました。しかし「CxM」に出会ってからは、視聴者の属性やコンバージョン数値などが可視化されることで、データに基づいたプランニングが可能になるので、これまで抱いていたテレビCMに対するイメージが覆りました。
―サンスターでは4月に組織改編があったとお聞きしました。新たなミッションの実現にも「CxM」は機能していますか。
梶山:広告コミュニケーション部というマーケティング活動の主幹を担う部署が新設されました。新設部署のミッションのひとつが「コーポレートコミュニケーションとブランドコミュニケーションの連携」。当社はこれまで、ブランドマネージャーを立てる形でマーケティング活動を行ってきましたが、この組織改編により、コーポレートとブランドで分断なくコミュニケーションを考え実行することが全社方針になりました。
今回、新たな試みとして行った純広告に「CxM」を活用した取り組みでは、2020年から開始している「100年mouth 100年health」というプロジェクトのCMで行いました。このプロジェクトは、「お口の健康を起点に、全身の健康に貢献する」という企業の想いを発信するものです。なので、このCMは当社の理念や取り組みを生活者に知ってもらうために出稿したもの。いわゆるコーポレートコミュニケーションが目的です。
先ほど冨士川さんがおっしゃっていたように、キャンペーン参加の誘発のみを訴求したCMでなく、取り組みを発信した純広告でも約3割の視聴者がアクションを起こしてくれたということは、企業理念の発信やブランディングという長期的なマーケティング戦略でもテレビCMが有効な手段だといえるひとつの要因になり得るのではないかと思いました。今まではCMにおける目の前の数字を集中的に追っていましたが、コーポレートコミュニケーションにも効果的となると、「CxM」の違った魅力がでてくるのではないか、と期待しています。
冨士川:「CxM」のメリットは、CMの効果が即時的に分かること。そして、その効果から見えた数値データに基づいて最適なプランニングが実行できることです。つまりキャンペーンの参加を促進したり、購買に結びつけるといった短期的なマーケティング戦略に効果的なシステムです。
しかし、今回のサンスターさんとの取り組みのように、ブランディングなどの長期的なマーケティング戦略でも有用性を発揮できれば、テレビCMの新たな価値創造につなげることができると思っています。「CxM」はまだ最終形ではありません。企業がもつ課題に応えるため、常にアップデートしていく必要があると考えています。クライアント企業との伴走の中でテレビCMの価値を再発見し、クライアントとの課題解決のなかで高めていきたいです。
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