番組コンテンツごとに、異なる視聴者属性視聴率だけにとどまらない新たな価値とは?

ビデオリサーチ関連会社Resolving LABは全国1,700万推計個人のテレビ視聴ログデータを提供している。タッグを組んだのがフジテレビジョンの視聴者参加型システム「CxM」だ。前回の『宣伝会議』のテレビ特集後の雑誌ライブで意気投合したことがきっかけで行われた実験的取り組み。その中で実現を目指す、テレビCMの新たな価値提供とは。

プランニングデータの精度を効果検証データから補強

ビデオリサーチ
ソリューション室
マーケティングソリューション部 
シニアエキスパート
吉田正寛氏

フジテレビジョン
編成制作局 
デジタルデザイン部
局次長職企画担当
冨士川祐輔氏

―ビデオリサーチはフジテレビジョンの体験型CM視聴者参加型システム「CxM」を用いた実証実験を開始しました。

吉田:ビデオリサーチは2020年4月、視聴者のライフスタイルの多様化や、各種テレビ視聴デバイスの普及による視聴形態の変化に伴い、視聴率調査をリニューアルしました。

これにより、全地区で世帯だけではなく個人の視聴率調査も可能になっています。
また、当社の関連会「Resolving LAB」は、この視聴率調査の結果を教師データに、視聴者の態度変容を可視化するフレームを整備しています。

具体的には、全国600万台の視聴ログを活用し、当社の生活者データベース「ACR/ex」の意識属性データと紐づけることで該当する枠を視聴していた個人の意識を分析。テレビ視聴率と視聴者の意識を掛け合わせた巨大市場推計データの提供が可能です。

これを用いて、より詳細なテレビ視聴実態の分析や、各時間帯の視聴者プロフィールを描くことができます。今回の取り組みは、当社がフジテレビジョンの体験型CMサービス「CxM」とタッグを組む形で行いました。「CxM」は、テレビCMの中で放送される二次元コードを読み込み、そのCMに対して実際にアクションを起こした視聴者がわかるシステム。出稿後の効果測定が最大の強みです。

一方で当社は、視聴率をはじめ、さまざまな調査データをもとにした、出稿前のプランニングや枠価値の可視化に長けています。つまり、「CxM」の効果データとResolving LABのテレビ視聴ログから得られる出稿該枠の価値データを合わせて分析することで、効果検証に裏打ちされた、より精緻なメディアプランニングを提供できると考えたのです。

冨士川:デジタル広告のようなターゲティングに強みをもつアプローチ手段が浸透する中で、テレビは、番組のコンテンツ特性によって変わる視聴者属性の可視化に取り組むことが必要だと考えていました。 

そんな折、前回の『宣伝会議』テレビ特集で実施された雑誌ライブで、ビデオリサーチの番組の内容を起点とする「枠」への最適なプランニングを実行する取り組みを知りました。ビデオリサーチと組めば、コンテンツや番組といった「枠」を取り巻く視聴者特性が可視化できる。それにより、そのコンテンツに親和性の高いCMを流すことも可能になりますよね。

2社の取り組みを組み合わせることで、新たなテレビの可能性が生まれるのではないかと期待しました。

―精緻な枠価値の可視化に強いビデオリサーチと、CM出稿後の効果測定に強いフジテレビが手を組んだということですね。

吉田:出稿前のプランニングではResolving LAB視聴ログの視聴者属性データを活用できますが、実際の出稿後の効果測定という点ではデータが不十分でした。「CxM」とタッグを組み、視聴後のアクションとResolving LAB視聴ログがもつ出稿枠ごとのエンゲージメントの指標を合わせることで、効果が高い枠の「理由」を枠視聴者ごとに可視化できるようになります。

この関係性を明確にすることで、「CxM」の出稿により適した「枠」を商品カテゴリごとにあぶり出し、引いてはテレビCM活用におけるPDCAがより精緻になるのです。

冨士川:今後、ビデオリサーチと共に取り組んでいきたいのは番組ごとに異なる視聴者属性別の反応の可視化です。テレビCMの効果を最適化するためには、番組を視聴者の年代・性別などの属性情報を把握することはもちろん、番組内容の文脈に合ったCMを打つ必要があるでしょう。

視聴者と番組の内容にマッチしたCMを打てるようになれば、視聴率以外にも、テレビという媒体の価値を見出すことができるようになると思っています。

吉田:番組内容とのマッチングもCMの効果を高める上では重要です。ビデオリサーチでも「TVCMマッチメーカーズ」というCMと番組内容のマッチスコアを推計する仕組みがあり、マッチスコアが高い枠のほうがCMの効果が高くなることが示されています。

視聴者属性の可視化、また視聴者属性別の広告に対するリアクションがわかるようになると、多様な番組を内包するテレビの特性にマッチした活用可能性も広がると思っています。 

視聴率だけでない、コンテンツに紐づく視聴者属性とCM効果の関係が明確になれば、テレビ枠評価の指標が広がり、おのずと多様な番組コンテンツが共存できる環境になると思います。

今後の「CxM」の取り組みでは、視聴者のみならず、局、出稿企業にとってもよい社会を実現できるのではないかと思います。



お問い合わせ
株式会社ビデオリサーチ
住所:東京都千代田区三番町6-17
TEL:03-5860-1723
Email:info@videor.co.jp
URL:https://www.videor.co.jp

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