中国の小売から――中国ECで戦うマインドと4つの重点領域【中編:実践】

日本の強みを活かし、4つの領域でやり抜こう

今回の中編に関しても盛り沢山の内容だったかと思います。あらためて私(堤)の方から簡単に要点を振り返りたいと思います。今回は「中国ECで戦うマインドと4つの重点領域」と題し、中国のEC市場で戦うためのマインドセットについて論じてきました。

【マインドセット】
①「日本Brand」の優位性の徹底活用するというマインド
日本らしい強みとしては「安心安全の担保力」と「コスパの実現力」、そして成熟化する消費者ニーズをとらえた「商品開発力」にフォーカスすることがよさそうです。

②「ECで勝つ努力」を日本市場と同じ水準でやりきるというマインド
自社で中国越境ECについて情報収集を重ねパートナー選定し、このプロセスを丁寧にやりきるという覚悟について語られました。具体的な4つの重点領域としては下記の通りです。

【抑えるべき4つの領域】
実践①:中国大手モールでの戦い方を抑える
日本のECの基本を中国でもやりきること。中国語の難易度はあっても、自社で確認しパートナー企業に達成のためのプロモーション案を提示させること。自社での人材育成、もしくは自社側に立って運営パートナーをマネッジメントできる役割を置くことが大事です。

実践②:中国アプリ内での戦い方を抑える
SNSに強いTencentが創出したWechat内のアプリで、特に自社ECの開設が容易にできるWechatミニプログラムに集客し、使いこなすことの可能性が示唆されました。

実践③:「非正規流通」と「偽物」を侮らない
一般貿易、越境ECの下に、「非正規流通」と「偽物」の存在があります。この部分は価格戦略にも影響を与えるため、決して無視できないことについて語られました。

実践④:貿易自由区のトレンド「海南島」を注視しておく
中国政府が、香港が担ってきた貿易自由区としての都市機能を海南島に移し始めていることについても触れられました。中国EC市場全体にも影響を与えるため、目が離せません。

日本らしさを活かしやり抜くマインドセットで、中国ECで勝とう

いかがだったでしょうか。今回は中国ECで戦うために具体的なマインドセットと重点領域を学んできました。中国で戦うからこそ、「日本らしさの強み」と向き合うことの大切さをあらためて実感しました。

次回「後編:応用」では、中国が「制約」の中で躍進してきたケースを紐解きながら、日本が、個人が、飛躍するためのヒントを論じ中国市場で戦わない人にもヒントとなるサバイバル術をお伝えできればと思います。次回の「世界の小売から」もお楽しみに。

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堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)
堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)

新卒で電通に入社し、コピーライター、デジタルプランナー、クリエーティブディレクターとして、様々な企業のプロモーション、ブランディング、新規事業開発などを担当。主な仕事としては、日本初の人工知能コピーライタープロジェクト「AICO」の新規事業立ち上げをはじめ、国語の教科書に掲載された「さびしくなったら、おヘソをみよう」(日本新聞協会グランプリ受賞)、『One Show 展』(カンヌゴールド)、『JRA進撃の有馬記念』、IBM Watsonハッカソン『日本IBM賞』、宣伝会議第1回コラムニストグランプリなど受賞多数。マレーシアのELM Graduate SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は「消費、そして地域を元気にする」をミッションに小売業界のデジタル革新を担う株式会社フェズにて、クリエイティブ・ディレクションと広報に従事。クリエイティブコーチとしても活動。またオランダ在住のリモートワーカーとして、EU圏からアジア圏まで海外リテイルのトレンドについても執筆や講演など精力的に活動中。主な連載『VUCA時代の小売と消費』(ダイヤモンド社)、『世界の小売から』(宣伝会議 AdverTimes)等

堤 藤成(フェズ クリエイティブ・ディレクター/PR プランナー)

新卒で電通に入社し、コピーライター、デジタルプランナー、クリエーティブディレクターとして、様々な企業のプロモーション、ブランディング、新規事業開発などを担当。主な仕事としては、日本初の人工知能コピーライタープロジェクト「AICO」の新規事業立ち上げをはじめ、国語の教科書に掲載された「さびしくなったら、おヘソをみよう」(日本新聞協会グランプリ受賞)、『One Show 展』(カンヌゴールド)、『JRA進撃の有馬記念』、IBM Watsonハッカソン『日本IBM賞』、宣伝会議第1回コラムニストグランプリなど受賞多数。マレーシアのELM Graduate SchoolにてMBA(経営学修士)を取得。現在は「消費、そして地域を元気にする」をミッションに小売業界のデジタル革新を担う株式会社フェズにて、クリエイティブ・ディレクションと広報に従事。クリエイティブコーチとしても活動。またオランダ在住のリモートワーカーとして、EU圏からアジア圏まで海外リテイルのトレンドについても執筆や講演など精力的に活動中。主な連載『VUCA時代の小売と消費』(ダイヤモンド社)、『世界の小売から』(宣伝会議 AdverTimes)等

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