日本の各年齢層の「経済格差」を検証する
年齢別セグメントを考える場合は、年代のそれぞれの消費支出の割合だけでなく、その年代の資産や年収のバラツキがどのくらいあるかを見る必要があります。つまり、いくら他の年代と比べて“平均”が高くても、その世代のすべての人が同じようにその支出ができる所得があるかどうかを見極めないといけません。これは収入や所得の格差を見る「ジニ係数」という指標で測ることができます。
ジニ係数の値は0から1の間で、係数が0に近づくほど所得格差が小さく、1に近づくほど所得格差が拡大していることを示しています。
ジニ係数は、一般に0.5を超えると所得格差がかなり高い状態となり是正が必要となると言われています。これは近年問題になっている「経済格差」を示す指標として言われています。ジニ係数にはふたつあり、「当初所得ジニ係数」という、純粋に前年の所得を対象にしたものと、「再分配所得ジニ係数」という、社会保障料および税金の控除を考慮し、年金や医療、介護などの社会保障給付をくわえた、いわゆる可処分所得を対象にしたものがあります。後者のほうが実質的な所得格差として考えるべきかもしれません。
日本は、前者の当初所得ジニ係数が1980年から上昇傾向にあり、厚生労働省のデータでは2017年には0.55まで達していますが、後者の再分配所得ジニ係数は0.37で、2000年代からすると横ばいかやや減少傾向にあります。
ちなみに国際比較では米国は0.39と日本より高め、英国や主要国は日本と同程度かやや高め、社会保障が進んでいる北欧やカナダは低めですが、全世界的には緩やかに上昇しつつありますので、「経済格差拡大」というのは世界的傾向であることは間違いありません。ただし、日本はその傾向からすると格差が縮小しています。