【前回】「意味のあるブランドパーパスは、どう発見するのか?~2つのインサイトがその鍵を握る~」はこちら
「ブランド」「世の中」「消費者」の3つの円
さて、いよいよ最終回。前回は、ブランドパーパスそのものや、パーパス起点のアイデアを考えるために、「ソーシャルインサイト」、「消費者インサイト」、そして「ブランド」の3つが重なる場所を、発見することについて書きました。
最終回は、より実践的に、「ブランドパーパス起点の具体的な戦略やアイデア」について考える場合を想定し、その考え方について話します。
いきなりですが概念を図示すると、下のようになります。3つの円。この図を下敷きに、お話しできればと思います。ちなみに、「具体的な戦略やアイデアよりも、まずはブランドパーパスそのものからじっくり考えたい。」という場合は、図の「ブランドパーパス」の部分を、単に「ブランド」に置き換えて考えてみてください。
ブランドパーパス起点で戦略やアイデアを立てる際にはベン図で整理すると分かりやすい。「ブランドパーパス」「ソーシャルインサイト」「消費者インサイト」すべてが重なると、強靭なアイデアが生まれやすい(筆者作成)。
ただし、実は具体的な戦略・アイデアを考える過程で、ブランドパーパスそのものも明らかになってくる場合が、とてもたくさんあります。もちろん、「ブランドパーパス」→「ブランドパーパス起点の戦略・アイデア」の順番で考える正攻法アプローチも重要ですが、かなり精度の高い抽象思考が必要です。ともすれば、正しいけれど、インスピレーションにも指針にも立ち戻る場所にもならない、ヌルいブランドパーパスが生まれる危険性も孕んでいます。
そのリスクを避けるという意味でも、逆の順番が実は有効だったりもします。
頭の片隅で、「ブランドの存在理由は何か?」に答えを出すことも意識しながら、まずは具体的な戦略・アイデアを考える。その過程で、だんだんとブランドパーパス自体も浮き彫りになってくる。
「具体的な戦略・アイデア = 今という時代に、ブランドは世の中に何を言うべきか・すべきかを考える」
↓
「ブランドパーパス = その思考過程で、ブランドパーパスも明らかにする(明らかになる)」
という逆のプロセスも、実はおすすめだったりします。そうやって生まれたブランドパーパスは、高い解像度と強靭さを持ち、一過性で終わらず、その後も新たなアイデアを次々と生みだす起点になる。そんな実感もあります。
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名古塁(グレイワールドワイド エグゼクティブ・プランニングディレクター)
名古塁(グレイワールドワイド エグゼクティブ・プランニングディレクター)
外資系クライアントを中心に、様々なブランドのブランド戦略やクリエイティブ戦略、コミュニケーション戦略立案を担当。最近ではP&Gパンテーン「#HairWeGo」の立ち上げから、「就活をもっと自由に」「令和の就活ヘアをもっと自由に」「The Hairy Tale」「#PrideHair」等のキャンペーンにおいて、ブランド戦略、クリエイティブ戦略、キャンペーンBIG IDEA開発、統合コミュニケーション戦略の設計に携わってきた。
APACエフィーアワードにて、2つのゴールド、シルバー、ブロンズを受賞。またクリエイティブストラテジストとして、カンヌ、ワンショー、ニューヨークフェスティバル、スパイクスアジア、D&AD賞、ACC賞、日経広告賞、電通賞など、国内外のアワード受賞に貢献。
学生時代、大手レコードレーベル含み3枚のCDをリリースした過去を持つ。バンド再結成を目論んでいるが、いつも飲み会だけで終わっている。
名古塁(グレイワールドワイド エグゼクティブ・プランニングディレクター)
外資系クライアントを中心に、様々なブランドのブランド戦略やクリエイティブ戦略、コミュニケーション戦略立案を担当。最近ではP&Gパンテーン「#HairWeGo」の立ち上げから、「就活をもっと自由に」「令和の就活ヘアをもっと自由に」「The Hairy Tale」「#PrideHair」等のキャンペーンにおいて、ブランド戦略、クリエイティブ戦略、キャンペーンBIG IDEA開発、統合コミュニケーション戦略の設計に携わってきた。
APACエフィーアワードにて、2つのゴールド、シルバー、ブロンズを受賞。またクリエイティブストラテジストとして、カンヌ、ワンショー、ニューヨークフェスティバル、スパイクスアジア、D&AD賞、ACC賞、日経広告賞、電通賞など、国内外のアワード受賞に貢献。
学生時代、大手レコードレーベル含み3枚のCDをリリースした過去を持つ。バンド再結成を目論んでいるが、いつも飲み会だけで終わっている。
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